甘くてすっぱいフルーツガールズ~私、この子たちの為に頑張ります~

クラプト(Corrupt)/松浜神ヰ/ハ

第1話 私、フルーツは無理です!!

ここは長野県某所。だんだん寒くなってきたこの季節、私には毎年恒例の苦痛がやってきた。


「みんなは無いのに何で私だけ…?」


この季節といったらやっぱり林檎りんごだ。甘くてみずみずしいあの球体は私の大好物とも言えた。でも、今の私は食べれない。なぜなら…。


「なんで私だけアレルギーなの~!?」


そう、私は林檎アレルギーなのだ。林檎だけじゃない。他の多くの果物でもアレルギーがあったり、アレルギーがない果物に限って好きじゃなかったりする。つまり、私の人生は果物とは無縁なのだ。


「加熱すればいけるんじゃないの?」

「加熱しても口の中がヒリヒリするの!だから無理だよ…」


加熱すればアレルギーを起こさないなんて人もいるみたいだけど、私はラテックスアレルギーだから絶対食べれないんだよなぁ…。

ラテックスアレルギーっていうのは、触っただけでアレルギー反応を起こすやつで、私の場合だと林檎以外にもバナナは絶対無理。指先のかゆみが止まらなくなるなんて悪夢は二度と見たくない。

もしもアナフィラキシーショックなんかで死んだら私は来世も果物を恨み続けることになるかもしれない。


「長野に生まれといて果物ほとんど無理だとかマジかわいそうだわ」

「お姉ちゃんは他人事ひとごとみたいに言うけど、結構辛いんだからね!?」


あぁ、いつかアレルギーの治療法が発見されて私みたいな人がまた果物を普通に食べれる日が来るといいんだけどなぁ。

そんなことを考えていると、すぐに学校に行く時間が来てしまった。急いで外に出たが、玄関先には赤ずきんの仮装みたいなのをした少女が私を見上げていた。


「あの、わたしたちを助けていただけませんか?」


急に少女はそんなことを言ってきた。


「どうしたの?何かの遊び?」

「ちがいます。さんぞくに追われて逃げていたらこんなところに来ちゃったんです!どうか、わたしたちを助けてください!」

「まず、私じゃなくてお巡りさんのところに行った方がいいよ」

「お巡りさんって何ですか?じゃあ、おねえさんが帰ってくるまでわたしはここで待ってますから」

「わ、分かった」


女の子との会話を手短かに済ませ、私は速足に学校へ向かった。どうせ今日は学校半日だし、終わったら速く家に帰ってあげよう。



学校が終わり、私は走って家に帰った。すると、女の子が何人が増えていた。そして、何人かの女の子たちは朝のあの子を揺さぶっていた。

すると、紫色の髪をいくつもお団子にまとめている女の子が走ってきた。


「そこのあなた、どうかスイートちゃんを助けてくださいしゃ!」

「助けるって、具体的にどうすればいいの?」

「お水、お水を持ってきてくださいしゃ、早く!」


そして私は水筒に入ってる水をあげようとあのに近づいた。あの娘は何があったってくらい顔がガサガサになっていた。口元に水筒の口を持っていき、飲ませてみると、急にカッと目を見開いた。


「ふっかーつ!!」


水筒の水たった1滴で復活した。正直安心したし、助けれてよかったと思ったけど、この娘たちは一体何者なんだろう?


「ねえ君たち、ちょっと聞きたいことがあるから私の部屋に来てよ」


全員で6人。それぞれ特徴的な格好をしていて、私の感がタダモノじゃないと言っているくらいだ。


「これで全員?」

「今のところは、です」

「今のところ?朝、助けてくださいって言ってたけど、何かあったの?それじゃあまず、自己紹介してよ」


1人目は朝のあの娘だ。金髪碧眼美少女でこの娘は赤ずきんのコスプレで間違いないみたいだけど…。

「わたしはシナノスイートです。見ての通り林檎のフルーツガールです」


2人目はさっきの子。見れば見るほど輝かしいな、この娘。

「余はシャインマスカットですしゃ。よろしくおねがいしますしゃ」

一人称は余なのに、語尾が超カワイイ。


3人目は…私より胸大きくね?私、一応高2だよ?

「アタシは佐藤錦サトウニシキ。言っとくけど、私だってこうなりたくてこうなったワケじゃないんだから…」

ありゃ、胸見てるのバレた?


4人目は個人的な感想だけど、ちっちゃくてカワイイ。

「せ、拙者はアマオウ。不束者ですが、何卒なにとぞご容赦を…」

服も軽装だし、もしかして忍者キャラかな?


5人目、肌白っ!?きれいな肌してるな…。

「わらわは白桃じゃ。そなた、スイートの命を救ってくださったそうじゃな、感謝するぞ」

貴族キャラかな?この娘たちキャラ属性多くない?


6人目、活発そうな子だな。

「ボクはせとか・・・。よろしくね」

おお、ボクっ!リアルで初めて見た…。


「ねえ、その『フルーツガール』って何?」

「わたしたちのことですよ。わたしたち、多分この世界じゃないところから来たので…」


え?異世界…っていうか、異次元から来たってこと!?


「ごめんね。うちじゃ飼えないかも」

「飼えない…?」

「あっ、間違えた!うちじゃ保護できないかも…。ほら、うちだって私とお姉ちゃんとお母さんと叔母さんとお父さんの5人いるし、お姉ちゃんだって学生だから学費はかかるし、部屋だってそんなにないし…。っていうか、私は果物はアレルギーか苦手かでだいたい無理なの!」


「え?別にいいよ」

「お母さん!?いつから聞いてた?」

「いや、そんなにいっぱい女の子連れ込むモンだから変なことでもするのかと思って最初っから…」

「本当にいいの?多分まだ増えるよ!?それに私アレル…」

「別にいいんじゃない?部屋だってまだあるし、そんなよく分かんない子たちを警察に預けるとろくなことにならないだろうし。ってことで、全員住んでいいよ」


「「「「「「やったー!!」」」」」」

「アレルギーをどう対策しろと…」


こうして、急に家族が6人も増えたのであった。


続く


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