第2話 新入部員は......

その先には、転校生、凜がいた。

「あ、やっと来たんだね」

「え、何でここにいるの?」

「それはね、私が美術部に入部したからだよ」

「は、えっ!?」

「前の学校でも美術部だったから」

「ちょっと待って、状況が整理できてないんだが」

「驚いてもしょうがないわね。だって、私が入るまでは部員が湊くんだけだったそうだからね」

「なんで知ってるの?」

「先生に聞いたの」

衝撃すぎる。

今まで部員が俺一人だった、美術部に新入部員が入るなんて。

この学校ではここ10年間美術部に入った者は俺だけだったのに。

「じゃあ、これからよろしくね。湊くん♥️」

なんか今、寒気がしたんだが気のせいか?

「う、うん。じゃ、じゃあ俺は絵を描くから」

「私も手伝うよ」

「い、いや大丈夫」

「いいから。私がいいって言ってるからいいの!」

わがままだなぁ。

「わ、分かったよ」

「どんな絵、描いてるの?」

「最近はこの夕日の絵だよ」

「色使いも丁度良いし、明暗がはっきりしてる。意外と上手いんだね」

『意外と』は余計だけど......

「凜さんはd」

「凜って呼んで」

な、なんか目が怖いんだが。

俺そんなに怒らせちゃった!?

「り、凜はどんな絵を描いてるの?」

「私のは...これ! 一番の自信作なんだよ!」

「え、嘘...上手すぎる。火星の輪郭と影、そして衛星の迫力! 全てがよくできてる」

「これでも絵を始めてから2年なんだけどね」

「てことは、独学!?」

「うん、そうだよ」

驚愕した。

独学を始めて2年で俺より上手くなれるなんて。

俺なんて塾に通いながらもう10年間やってるのに。

才能って、才能なんだな。

「独学でここまできたのはすごい!すごいね!」

「ありがとう!(そんなに褒められたら私...)」

「ところで気になったんだけど、赤色ってこんな色だったっけ」

「そ、それは、赤色をすこし濃いめにしてるから」

「そうなんだ。俺、これを参考にしても良い?」

「も、もちろん良いよ」

その後、俺たちは解散して家に帰った。

本当、すごいんだな凜は。

次の休日は凜の絵を参考にして描くか。

それにしても、急に新入部員かぁ。

ま、ぼっちも良いけどやっぱり楽しい話しながら活動していきたいな。






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