戦いの後に

 リンとマロンはリンの最後の攻撃によって吹き飛ばされたゴルドを眺める。


「はぁ………はぁ………」


 やがてゴルドがドサッという音とともに地面に倒れる音を聞き


「はぁ………疲れた………」


 そんな声を吐きながらリンもその場に座り込んだ。

 リンは百折不撓というスキルによって傷も体力も魔力も自動的に回復できるが、精神的疲労は別だ。


 そんな座り込んだリンの目の前に手が差し伸べられた。


「お疲れ様………」


 マロンはそう言いながら、優しくリンに手を差し伸べていた。


「おう。勝ったぞ」


 少し笑ったリンに、マロンは小さく頷いた。


「それで、どうするの?」


 マロンは倒れているゴルドを見ながらリンに質問する。


「まぁ、ギルド連行でいいんじゃね?あいつ、副ギルド長って言ってたし、最悪あいつ一人だけでも連行すれば大丈夫だろ」


 ちなみにあとの三人はまだ延びている。

 ということで、ゴルドはリンが背負い、残りの三人はマロンがロープで括りつけて引き摺っている。


 街に到着すると、門番の人が、マロンにロープで括り付けられ、引き摺られている三人を見て唖然としていた。


「え、えっと………一先ず、どういう状況か聞いてもいいかな?」


 なんとかすぐに復帰した門番は深呼吸してからマロンとリンに聞いてきた。


「えっと、私じゃなくてリンが………」


「俺が森でこいつらに襲撃にあったから、返り討ちにして連行して来たんだよ」


「そ、そうだったんだね。それにしても………」


 門番は少しだけ疑惑の目をリンに向けてきたが、リンはそれを無視してマロンと一緒に街に入った。



□■



「リンくんの厄介事ってこういうことだったんだね………」


 まさかのCランク冒険者に襲われた、なんて報告を聞いてミカンも少し焦った。


「まぁ、問題はなかったな」


「………腕、斬り飛ばされてたのに?」


「あれは必要経費だ」


 今、ミカンの耳に腕が斬り飛ばされたとか聞かれたが、もうお腹一杯なので、無視した。それに今はくっついてるので問題なしと一先ず判断したのもある。


「それにしても、ギルド【マロン様の奴隷】の副ギルド長が襲ってくるなんて………リンくんにはもっと忠告しといた方がよかったかなぁ………」


「まあ、今無事なんだし結果オーライってことでいいんじゃね?」


 そんな気楽なリンにミカンはなんとも言えない表情になるが、まあ間違ってはいない。


「それに、カスタード氏もありがとうございました。リンくんを助けていただいて………」


 きっと、ピンチになったリンをマロンが助けてくれたのだろうと、そう予想していたミカンだったが、


「ううん。違う。リンは、一人で4人を倒したから………」


「………へ?」


 マロンの言葉に、ミカンの思考は止まる。

 マロンは今なんと言った?リンが、4人を倒した?同格と、圧倒的格上を?


「あ、そうだ。ステータス更新してくんない?」


 そんな呑気そうな言葉を発したリンの台詞を聞いた直後


 ミカンは発狂した。


────────────────────


Eランク冒険者がCランク冒険者に勝つ。これは現実世界で言ってしまえば空手はじめたばかりの人が、IH予選で一位通過した人に勝つみたいなもんです

それくらい難しい

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