第5話 ラピス、お父さんと話す。
それからアユちゃんは見習い転職を繰り返して"魔法使い"の他に"剣士""武道家"そして"聖職者"の隠しスキルを手に入れた。ちなみに聖職者の隠しスキルは他属性魔法への聖属性追加と超威力の極大消滅魔法(使用条件有り)でした。
「今の私で取れる隠しスキルはこんなところかな?」
「そうだねー。基本職は四つだし転職場所で取れるだけだと思うかコレで終わりだね」
セピアさんの召喚士などEX職と呼ばれる特殊な職業は南の泉に持ち込んだアイテムを捧げるいける転職場所らしいので初心者は行けません、ですので隠しスキルはないはずですのでミッションコンプリートです。この情報はアユちゃんの転職ツアーの間にセピアさんへメールにて質問したことで得られた情報で、"見習い"転職時に隠しスキルのヒントは貰えてたらしいので基本的に取り逃す初心者は少ないそうです。
「あ、ごめん!もうログアウトしないと」
「大丈夫だよー、私も疲れたから落ちるね」
「うん!今日はありがとう。ラピスちゃん、また明日学校でね」
「またねアユちゃん」
アユちゃんと遊んでうちにすっかりと日は傾いて夕方となっていたようで今日はお開きです。中学までのぼっちだった私ならここから一狩り行こうかとなっていましたけど、流石にアユちゃんを置いて先にレベル上げとかは気が引けるので大人しくログアウトしたのです。
「あ、茉実ちゃんからウインがきてる」
[今日はありがとう!色々な職業になれて楽しかったー!見習いだけど。付き合ってくれてラピスちゃんに感謝感謝ー。次は冒険に行こうね!]
なんか茉実ちゃんの姿が目に浮かぶなーとと思いつつ返信をしてベッドに仰向けになります。
「私も楽しかったから気を遣わなくていいのに」
なんか、久しぶりにVRゲームで"遊んだ"と実感できて私の気分も昂揚感に包まれていますね。いつもの狩りも楽しかったけど、新しい発見のない同じ作業の繰り返しは仕事だもの。
ピンポーン
「いつもの出前かぁ⋯⋯。お父さん、今日も帰りが遅くなるのかな」
いつもの無口なお父さん。遅くまで毎日仕事でお父さんもこんな気持ちなのかな?それなのに私は⋯⋯。
「それでも私は⋯⋯」
後悔はしてないし、みんなとの出会いがあったからこそ、こんな気持ちになれるのかなとも思いました。その夜は寒く、物音ですぐに目を覚ましました。
「お父さん、おかえりなさい」
「ただいま、珍しいなラピスが起きているなんて」
「んー、お礼を言いたくって。いつもありがとう。それと遅くまでお疲れ様。あ、おやすみなさい」
そう伝えてすぐに自室に戻りました。"今の私"にできる最大限のコミュニケーションです。⋯⋯お父さんともっと関わりたいけどどうしていいかわからないよ。家族なんだから、だけど家族としてお互いに距離を置きすぎたのかな。
「私のバカ⋯⋯」
そんな独り言は夜の闇へと消えていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます