New Challenge ――新たな挑戦――
自己ベスト更新だ、そしてワールドレコードも更新だ。
ひゅー、と口笛を吹き。拍手する。
「よおーっし、いいぞ、マジでいい感じだ」
と言う優は、目つきも鋭く、36歳のアラフォーらしい豊富な人生経験もありそうな不敵さが醸し出される。
レッドブレイドはチーム名がしめすとおり、チームカラーは赤。赤いTシャツの左胸には日本刀がプリントされている。
赤毛で赤いファイヤーパターンのタトゥーがあるヤーナは、チームのイメージにぴったりなプレーヤーだった。
「うん、ありがとう」
ヤーナは得意げな笑顔で、日本語で礼を言う。
「日本語も上手くなってきたな」
「みんなが上手に教えてくれるから」
「うん、うん。いいぞ、いいぞ」
フィニッシュしてから、ランク表を出す。1番は、ヤーナことHoney Bearでその他の国地域の地球マークだ。2番には、Spiral Kで韓国国旗。3番にはDragonで日本国旗。
差は1秒少々。
「Forza E World GPの1位と3位に1秒以上も差をつけてるな。……ってゆーか、いつの間にかここまで来やがった」
ヤーナはぽかんとしている。まだまだ完全には日本語はわからない。スタッフが通訳して、そこで得心してうなずく。
たしか昨日まではSpiral Kが4番手でDragonが7番手だったが。もう背後まで迫ってきているとは。
さすが優勝候補の一角だ。
ちなみに大会は現地開催で、東京のとあるアリーナにて開催される。
「次の日曜の予選は、まあ問題ないだろうが。本番は、やっぱり一筋縄じゃいかねえな」
「DragonもSpiral Kも、速い。Dragonなんて、予選10位から勝った」
「そうだな、オレも観てたが、よく勝ったもんだと驚かされたぜ」
Dragonは、無名の新人だったのが、この勝利により一躍有名人になった。
「だけどなあ、うぶな性格でSNSやってねーときたもんだから、敵情視察できねえのがなあ」
「まあ、そこは、こじ、こじ……」
「個人の自由、って言いたいのか」
「そう、それ」
「そうだな、強制されたSNSもつまんねえしな」
Spiral Kことフィチは各SNSに自分のアカウントを持っているが。龍一は持っていない、というわけではなく、持ってはいるが非公開にしてごく親しい者としかやりとりをしない。そのうえメディアにもあまり出ない。
そのため、知名度はあるが影が薄い印象があった。
優はそんなDragonを諧謔を込めて伏せる龍、伏龍と言ったりした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます