僕が造った君を知るたび
山野エル
1、出会いというか確認作業
「やあ、初めまして」
僕がそう言うと、彼女はニコリと微笑んだ。
「初めまして。あなたは誰ですか?」
「僕はエル。僕が君を造ったんだ」
彼女は困ったように僕を爪先から頭の先まで舐め回すように見た。
「おとうさんということですか?」
「う〜ん、まあ、そうとも言えるし、そうでないとも言えるね」
「両性具有ということですか? 染色体を調べますので、細胞のサンプルを頂けますか?」
大真面目な顔で彼女は言う。
「そういうことじゃないんだよ」
「そういうことじゃないんですか」
「そう。そういうことじゃない」
彼女はニコリとする。
「わかりました。そういうことじゃないんですね」
とりあえず、彼女は大丈夫らしい。僕は少し安心した。
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