【NTR】幼馴染みの彼女を寝取られたけど、時間がまき戻ったので、やり直して復讐します。〜同じクラスのお嬢様と協力していくうちに甘々♥になって……幼馴染みとも——?

手嶋ゆっきー💐【書籍化】

第1話 5月10日〜6月1日 園田陽菜美 〜チャラい先輩と一緒にホテルに入る幼馴染みの彼女を見た。

5月10日(水曜日)


「えっ。どうしてヒナが男と一緒に歩いているんだ?」


 ゴールデンウィークが終わり、いつもの日常にもどったハズだった。

 俺は幼馴染みのヒナ——園田陽菜美(そのだひなみ)と放課後に、駅の近くでデートする約束をしていた。


 しかし待ち合わせの時間になっても来ず、メッセージアプリでも返事がないので心配していると、ふと見知った顔が道路の反対側を通ったことに気付く。

 そこには、俺のことなんか忘れているような様子でヒナが男と歩いていた。しかも腕を組んでいる。


 その姿を見ただけで、どうして? という思いと腸が煮えくり返るような怒りを覚える。

 しかも、男に見覚えがある。チャラい先輩として有名な先輩だ。もう見た目からして遊んでそうな雰囲気がある。

 そんな先輩とヒナが一緒にいる? もしかして……浮気? いや、そんなはずない!

 きっとこれは何かの間違いだ。俺は、二人の後を尾行する。


 歓楽街があり、その中を進んでいくヒナとチャラい先輩。確か、須崎という名前だったと思う。

 その二人は、繁華街の外れにあるラブホテルの前に到着する。

 まさか、本当にホテルに入るのか?

 俺は思わず走り出し、二人に近づいた。


「じゃあ、今日は最後まで良いよな?」

「うん」


 そんな声が聞こえてきて、俺は堪らず声をかける。


「ちょっと待て!」


 その声に、二人が振り返った。


「あっ……」


 ヒナは俺からの視線から逃げるように先輩の後ろに隠れた。

 先輩は俺の姿を見て口の端を吊り上げる。


「あっ、お前は……そうか、お前が幼馴染みのクソ峰か」

「西峰だ。西峰達也。先輩は、ヒナとどういう関係なんですか?」


 そう答えると、須崎先輩が笑い出す。


「ハハハっ」

「何がおかしいんだよ!?」

「いやいや、ごめんごめん。言ってやれよ、陽菜美」


 その言葉にカチンとくる。しかし相変わらず先輩の陰に隠れ続けるヒナ。間を置かず飛び出した言葉に、俺は耳を疑った。


「私ね、今日から須藤先輩と付き合うことにしたの。だから私と達也の関係は終わりなの。ごめんねーっ!」

「……嘘だろ?」

「本当だよっ。須藤先輩優しいし」


 嘘だ、嘘に決まってる。しかし、俺の知っているヒナの調子に、とてつもない説得力があった。


「なあ、陽菜美。お前本当はこいつのことなんか好きじゃなかったんだろ? 幼馴染みなんて腐れ縁が嫌いだったんだろ? 俺が慰めてやるよ」

「……うん」

「そういうワケだ、元彼さん。処女散らすところ、ムービーで撮って送ってやろうか?」

「ちょっ……それはやめて」

「分かった分かった」


 先輩がヒナの肩を抱きラブホの中へ歩いて行く。

 それを見た瞬間、俺の中で何かが弾け飛んだ。


「ちょっと……ヒナ! 待ってくれ!」


 しかし、その言葉はもう、俺の大切な幼馴染みには届いていなかった。


 ヒナとはご近所さんで、小学校の頃からの知り合いの幼馴染みだった。

 彼女の親の転勤で中学は別々だったけど、またこっちに戻って来たらしく同じ高校に入学。

 一年間は友達として過ごしてきたけど二年生になり5月4日に俺から告白した。

 告白直後からヒナと会ったりメッセージアプリで連絡を取る機会が減っていた。今日はヒナの方から誘ってくれたので、単純に嬉しかった。


 それなのに。どうしてこうなった?

 とてつもない喪失感が俺を襲う。一緒に過ごしてきた時間、ヒナに向けた気持ちや思い。全部嘘だったのか?


 正直、あれから家にどうやって帰ったのか覚えていない。

 ただ覚えているのは、強烈な喪失感と、ずっと一緒にいた幼馴染みを寝取られた事実、ただそれだけだった。


 ☆☆☆☆☆☆


5月11日(木曜日)


 翌日。はあ、と溜息をつきながら教室に入ると、無言の視線が俺に集まっていることに気付いた。

 俺は視線の正体を探ろうと周囲を見回す。すると、クラスメイト達が何やらヒソヒソと話していることに気付く。


「……だよ」「……って……」「……てさ……っ」「…………だって……」


 断片的に聞こえてくる言葉から推測すると、俺が幼馴染みの彼女を寝取られたという事実が広まっているらしい。

 俺を気遣ってか、クラスのグループチャットではなく部活やその他のグループで一気に広まっているようだ。


 クラスのグループチャットには別の情報が流れていた。

 ヒナと一緒にラブホテルに入っていった須藤先輩。彼には別の彼女がいたらしいというのだ。


「須崎センパイと付きあい始めた女子が、川に飛び込んで重症を負った」


 なんだそれ? あの男も二股をかけていたのか。ヒナも俺と二股かけていたわけで、お似合いではある。

 そう思うものの、俺の気分が晴れることはなかった。

 川に飛び込んだ子は俺と同じクラスの女子だ。教室を見渡してみるけど、当然姿が見えない。今日は休みだろう。


 きっと、俺と同じ気持ちなのかもしれない。


 ☆☆☆☆☆☆


5月20日(土曜日)


「ただ……いま」


 一応連絡があったものの、妹が朝帰りした。憔悴した表情で、まっすぐに自分の部屋に閉じこもる。

 それ以降……部屋から出て来ようとしなかった。

 直接の原因は分からないけど、妙な噂を耳にした。


 その翌週、須藤先輩が中学生とヤったって自慢していた話がグループラインに流れていた。相手の女子中学生のイニシャルは、NC。

 西峰千照(にしみねちあき)……俺の妹のイニシャルと同じ。

 俺はひきこもりになってしまった妹と須藤先輩が無関係であることを願った。


 ☆☆☆☆☆☆


5月29日(月曜日)


 ヒナが転校した。そもそも、あの日……ラブホで見かけた時を最後に連絡が取れなかった。

 学校では姿を見なかった。クラスは違っていたので伝聞になるけどあれから、休みがちだったらしい。

 どうして急に転校を? そう思いメッセージアプリで連絡を取ろうとするけど、ブロックされていた。その上電話も通じず連絡が取れなくなっていたのだ。


 ☆☆☆☆☆☆


6月1日(木曜日)


 学校の帰り、俺はとぼとぼと歩いていた。


 通学路の途中にある橋を渡っていると、前方から誰か歩いてくるのが見えた。須崎センパイの元カノ、少し前、確か5月1日に川に飛び込んだとかいう同級生の高橋優理だ。

 高橋さんは休学していて私服を着ていた。

 長い髪の毛はボサボサになっていて、肌も荒れているようだ。

 学校ではトップクラスの美少女の変わり果てた姿がそこにあった。


 高橋さんは俺と目が合うと、驚いたように目を見開きそして恨むような目つきをして言った。


 「みんないなくなった……クロも……あたしが……何もしなかったから」


 え?

 どういうことだ? 俺がそう思った瞬間、高橋さんは橋の欄干をよじ登り、そのまま川に飛び降りようとする。


 一瞬の出来事だった。俺は慌てて駆け出し、彼女の手を掴む。その人の手は驚くほど冷たく、震えていた。

 しかし俺は体勢が悪く……そのまま彼女の手を繋いだまま川に落ちる。


 ドボン……。


 水はまだ冷たく、あっというまに気が遠くなる。

 俺が一体何をした? どうしてこんな目に遭う?

 ひたすらに恨みの言葉を並べ、川の底に沈むように俺は意識を手放した。



 ☆☆☆☆☆☆



 ふと目を覚ますと、いつも天井があった。俺の家、自室の天井だ。

 え?

 俺はパジャマを着ていてベッドで寝ていた。外からは鳥のチュンチュンというさえずりが聞こえる。

 ベッドから起き上がると、スマホを手に取る。時刻は午前七時。そして、表示されていた日付は……。


「5月1日……?」


 俺が幼馴染みに告白する三日前に戻っている……?



————

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小説家になろう様に、加筆修正したバージョンを併載しており、一旦そちらで投稿を続けていますので最新はそちらでも読むことが出来ます。

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