第249話 クリスマスケーキ

 クリスマス当日という事でケーキ屋さんも人が多くいた。


 大体がクリスマスイブにケーキを食すだろうに、クリスマス当日になっても充分売れ行きは良いようだ。


「カズ君! 何にする!? ショートケーキ!? それともカズ君の好きなチョコケーキ!? 私カズ君と一緒なら何でも美味しく食べられちゃうよ!」


 笑顔でそう呟く彼女に俺は答えた。


「じゃあチョコケーキかな」


「分かった! 店員さん! この中くらいのチョコケーキを一つお願いします! チョコネームプレートには和希と結美のクリスマス記念日って書いてください!」


 堂々と恥ずかしいことを言っている結美だったが、今はクリスマスシーズンという事でまだ緩和されている。


 これが通常時だったらと思うと燃え死ぬぞ...。


 まあ、流石の結美も普段からチョコネームプレートにそんな事は書かないだろう。


 ...書かないよね? なんか書きそうだぞ、いやこいつなら『大好きなカズ君へ♡』とか書くわ絶対に。


 愛川結美という女性の気質は昔から変わらない。


 どんな時でも俺の事を思ってくれているというのは行動と言葉で分かる。


 しかし、やはり行き過ぎだと思う事もあるのだ。


 今回もそうである。


「クリスマスかぁ...。私が鹿のコスプレしてカズ君がサンタさんのコスプレできたらいいのにね」


「なぜ結美が鹿なんだ?」


「だって...♡ 鹿ってサンタさんを乗せて走るんだよ? 私もカズ君を背中に乗せてあげたいんだ♡」


 それを聞いた周りの人たちは若干引いているのだった。


 勿論、俺もな。

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