第186話 ビーチ遊び

 俺は結美と一緒に海で泳ぐ。


 まあ泳ぐとは言っても軽く泳ぐだけなんだがな。


 あんまり沖合の方には出る気でないし、こういう場所でガチで泳ぎまくるのもちょっと違うと思う。


 しかしまあ海は綺麗なもんだよ。


 日本で見る海とは本当に全く違う。


 水の底までしっかりと見える透明度の高さはここでしか味わえない産物かもしれないな。


 そう思うと一つ経験になったと言えるだろう。


「カズ君! こっちにきてよ!」


「まてまて、結美の方が身体能力高いんだから追いつけね〜よ!」


 そう言いながらも俺は頑張って結美に追いつこうとするのだが、やはり追いつけないな。


 元々文武両道の結美に勉強でも身体能力でも勝った試しはない。


 せいぜい俺が彼女に勝てる事と言えばゲームくらいだろう。


【覚醒者】になった後もそれはかわらなかった。


 結局結美はあれだけ強い伊藤にも1対1で勝っちまうし、凍神龍を相手にしてもたった1人でどうにかできてしまいそうな雰囲気があった。


 人生の勝ち組とは彼女のような人のことを言うのだろう。


 物語の主人公と言ってもいい。


 そんな奴が一般人の俺と結婚したいだと? 俺からすればどう考えてもおかしな話だが、彼女の瞳は本物だ。


 本気で俺と結婚したいと思っているし、今もこうして本気で俺との付き合いを心の底から楽しんでいるのが分かる。


 これだけアプローチされると当然OKを出したいのだが、それには俺自身が彼女に釣り合うようにならなくてはと考えてしまうのだった。

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