第120話 砂海の魔物
ズザザザザ! とすごい音を立てながらこちらに向かってくる砂海の魔物だが、その動きはあまり早くない。
ああいう待ち伏せ型の典型例だな。
恐らく俺たちを威嚇してどこかに行かせようとしているのだろう。
姿を見られたらまた隠れて待つために周りの生き物を一度威嚇して離れさせる。
自然の生み出した生き物の行動だと思うと美しいな。
「逃げるぞ!」
松林さんの号令と共に俺たちは逃げ出した。
頑張れば倒せなくはないだろうが、ここで体力を消費するのも馬鹿らしいか。
一応【速度低下】のデバフをかけて置いたのですぐに逃げ切れた。
「高坂君の騎兵は実に優秀だな」
松林さんはそう言ってくれるが、横川弟は「ふんっ! ちょっと楽になってるだけだろうが!」と喧嘩越しだ。
「慶次!」
横川姉が大声をあげると弟君は少し拗ねたように黙る。
「すみませんねうちの弟が。高坂さんの騎兵は充分に活躍してくれていますよ」
横川姉にそう言われて嬉しいのか頭をかく騎兵達。
(お前ら亡霊の癖に妙に人間らしいよな)
などと思っていると、砂漠にある山のような場所から地下へとつながる穴を見つけた。
「洞窟か、少し探索してみようと思う。松明を」
騎兵から降りてそう呟く松林さんに俺はこう言った。
「松明なんか持ったら片手が塞がる。ここは俺のミルティに任せてくれないか?」
薄暗い洞窟の中を進むために俺はミルティを召喚するのだった。
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