第30話
夜になるとクレイは疲れたからと言って先に一人部屋に戻った。
古いが大きな家なので部屋は多い。
クレイが眠るその隣の部屋では風呂上がりのアリアとマリイはパジャマ姿で寝る準備をしていた。
シャーロットはまだお風呂に入っているところだ。
「なんだかクレイ様の様子がおかしかった気がしません? 顔が赤かったような」
「そう? 風邪かな? それか明日からのことで緊張してるんじゃない? なんたって三人でCランクのモンスターを倒さないといけないんだから。て言うか、戦力になるのってあたしくらいじゃない?」
クレイはサポート専門の紋章使い。
アリアは戦闘経験すらほとんどない。
「足手まといにならないようがんばります」
「でもビッグマウスを倒したんでしょ? 一人ならあたしでもかなり厳しいよ。と言うより危なすぎるからまず戦わないかな」
「それが全然記憶がなくて……。クレイ様を守ろうと思って、気付いたら……」
「言ってたね。やっぱりそれって聖刻印のせいなのかな?」
「多分そうだと思います。それと……」
アリアは顔を赤くした。
「ん? どしたの?」
「い、いえ……。なんでもありません……」
苦笑いするアリアにマリイは首を傾げる。
「まあでも頑張るしかないよね。でないとギルドが潰れちゃうんだし」
マリイは気を取り直して元気に拳を握った。
アリアは頷く。
「はい。わたしもどうすればあの力が使えるのか分かりませんが、精一杯頑張ります。クレイ様のギルドは守りたいですし」
「盾も買ったしね。それも二つ。お店の人驚いてたなあ」
「普通は二つも使わないそうなんですけど、わたしに武器は難しいので」
アリアが買ったのは手首と腕にベルトが付いた丸い盾、バックラーだ。
それを二つ購入した時のことを思い出してマリイが笑う。
「いや、そうじゃなくてさ。あんな重いのを二つも持てるのは亜人でも見たことないって言ってた方」
「え? そうだったんですか? そんなに重くはないと思いますけど」
アリアは恥ずかしくなって顔を赤くした。
「すごいなあ。わたしじゃ絶対無理だよ。でもちょうどいいんじゃない?」
「そうですか?」
「うん。あたしが攻めて、アリアが守る。それがちゃんとできればなんとかなるかもしれないしね。結局クレイは誰か守らないといけないし、あたしが守ってたら攻める人がいないからね」
アリアは苦笑いした。
「それを聞いたらまたショックを受けそうですね」
「でも本当のことだし。まあ、クレイならいくらでも守ってあげるんだけど」
「そ、それはわたしもそうです」
二人は互いの顔を見合うと笑い合った。
「じゃあもう寝ようっか。明日も早いし」
「はい。おやすみなさい」
二人は明かりの魔鉱石を消し、眠りについた。
しばらくして月の明かりしか入って来ない部屋の中で小さな音が聞こえてくる。
それは二人の布団の中からだった。
お互い別のベッドで背を向けながら下着の中に手を入れる。
二人の腹部には聖刻印がぼんやりと浮かんでいた。
(クレイ様……。クレイ様……)
(うう……。アリアもいるのに手が止まらない……)
二人ともくちゅくちゅと音を立てながら息を荒くする。
時折静かな部屋の中に声が漏れた。
「はあはあ……あっ…………」
「んんっ…………」
だんだん手つきが激しくなってくると最後には二人共足をピンと伸ばして静かに果てた。
下着とシーツは濡れ、部屋の中では押し殺した息だけが微かに聞こえる。
しばらくすると二人はまた手を動かし始める。
(全然……足りないです……)
(あ、あともう一回だけ……)
二人とも片手で胸の先をしごき、もう片方の手を下着の中で動かす。
口では触れていない方の胸を吸っていた。
「ん……っ、あっ……」
「はぁはぁはぁはぁ……」
二人が眠りについたのは何度も絶頂を繰り返し、一時間ほど経ってからだった。
風呂から上がったシャーロットはタオルを巻いた姿で窓を開けて月を眺めていた。
買ってこさせた酒が入ったグラスを持ったまま不敵に笑う。
「二人とも順調に発情してるようじゃな。さて。妾も一肌脱ぐかのう」
そう言うとタオルがしゅるりと落ちて裸になった。
小さな体に似合わない大きな胸がたぷんと揺れ、大きなお尻とむちむちの太ももが月にて照らされる。
シャーロットの後ろにはテーブルがあり、そこには珍しい木の実や果物などが並べられている。
シャーロットはその近くにグラスを置くと手に魔力を纏わした。
すると怪しげな光が周囲を照らした。
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