第23話 姫さまは麻婆豆腐が食べたい!!

 う~ん…


 フウガさまロスが激しいわたし…

 まだまだ、したりないのに…


 ほぅ…


 っと、ため息…


 エッチしたい…



 というのは半分冗談で、そろそろこの世界での食のレパートリーを増やそうとおもうのだけど…


 わたしは、今すっごく



 麻婆豆腐が食べたい!!


 辛いもの!


 カレーの辛さではなくて、四川的な辛さのお料理が食べたい!!


 よし!

 作れるか材料を探してみよう!!


 

 キッチン。



 実のところ四川の肝、豆板醤みたいな調味料は仕込んでみたのよね。

 ペロリと味見。

 

 うん、いい感じ!


「姫さま、何をされているんです?」


 キッチンで働いている女の子2人が声をかけてくる。例の小鬼被害の女の子達ね。もう、すっかり立ち直ってキッチンを、切り盛りしてくれてるわ。


「うん!仕込んでいた調味料の味を見ていたのよ」


 そう言い、わたしは、豆板醤を味見させる。


「「辛っ!」」


 ウンウン、良い反応よね。

 辣油も仕込んであるし、調味料もあるし、四川料理の下地は出来たわね。


「ねえ。お豆腐ってないわよね?」


 顔を見合せ目をパチクリさせてからわたしに顔を向ける2人。

 声を合わせて

「「おとうふ?」」


 デスヨネー


「え~っと、ねぇ、お豆腐というのは…」

 わたしは、2人にお豆腐の説明をする。

 伝わるかなぁ…


 麻婆豆腐作るのに、豆腐だけないのよ!

 他の似た食材はあるのよ!


「そういえば、今日、大豆がたくさん届きましたよ?」

「それ、ホント?」

「え、ええ。それがどうかしましたか?」


 大豆はクリアね。

 後は、苦汁があれば…


 う~ん。

 苦汁って確かお塩の副産物よね?

「ねえ!ウチの領地って海あるのかな?」

「海ですか?あったはずです。いつも、お魚が届くのですが…」

 

 え?


 海あるの?


 ええ??


 お魚???


「海のお魚全然食卓にあがらないけど?」

 海があるけど、お魚が届かない。

 なにやら解決しないといけなさそうね、久しぶりに。

「見ますか?お魚。まだ、食べれそうですが、ディナーの時間までは持たない感じなので…」


 そうね!

 わたしは、お魚の状態を見せてもらう。


 。


 。。



 。。。




 う



 なんじゃこりゃあぁぁぉ!



 鮮度が、ない!

 殆んど腐りかけぢゃない!

 折角のお魚が台無し!


「ええ、何とか海老が数尾まだ食べられそうでしたから綺麗な水槽に入れてますが?」


 海老!

 

 海老があれば、アレができるわね!


「わかったわ。とりあえず海老、食べちゃいましょう。持ってきて」

 わたしはそう言い、海老を持ってこさせる。


 ビチビチ


 あら、意外に活きが良いわね。


「ところで、真水になんかいれてないわよね?」


 さりげなく聞くわたし。

 海のモノを運ぶなら海水と同じ濃度の塩水作るのが常識っしょ?


「え?ただの水ですが?」



 。



 。。



 。。。



 おひひひひひひひ!!

 基本の『き』ぢゃぁぁぁぁぁぁ!!!


 浸透圧で魚の旨味とかいろんなモノが出ちゃうのよぉぉぉぉ!!


 ま、まぁ、いいわ。

 知らなかったことにツッコミ入れても仕方ないわ。

 とりあえず、この二人には海の魚の扱いをみっちり教えることにするわ。


 さて、肝心の海老。

 まぁ、普通の車海老みたいな海老ね。

「折角だから、一緒にやろうね」

 わたしは、2人にマル秘レシピを教えながら調理する。


 先ず、海老は頭を落として、身の方の殻を剥く。

「姫さま。海老の頭を残しておく意味はあるのですか?」

「うん。良いお出汁も出るし、そのまま揚げたりして食べると美味しいわよ」

 てきぱきと海老を解体するわたしたち。


 身の方は余計な水分は拭き取ろうね。

 その間に油の入った鍋を火にかけるわ。

 それをほどよい温度になるまで待つわけ。

「その間に水気をよく取った頭と身に片栗粉を打とうね」

 油の温度が上がるまでに頭と身に片栗粉(みたいな粉)等をよくまぶす。揚げた後がフリッターみたいになる感じにね。


 適温まで油の温度が上がったら先ずは頭から揚げるわ。

「姫さま、なぜ頭から揚げるのですか?」

「頭には色々な旨味とか入ってるから。それに、油に海老の風味をつけたいから、かな?」

 へぇ~、という感じで説明を聞く2人。


 はい、その間に卵黄とお酢とお塩、すりおろしたニンニクにオリーブオイル(に似た油)を撹拌していくよ。

 何仕込んでるか分かるよね?


 そ


 マヨネーズ!


「姫さま、クリーム状になってきました」

「良い感じね」

 わたしはそこら辺においてあった胡瓜を適当にカットしてマヨネーズをつけて2人に食べさせる。


「「!?」」


 を?


 良い反応ね♪

「こうした、生野菜のディップとか色々なお料理に使えるわ。でも、カロリー高いから気を付けてね」


 マヨネーズを仕込んでいる間に良い感じに海老の頭があがってくる。

 わたしは揚げたての海老の頭をお箸で取り、試しにボリボリ食べてみる。


 嗚呼


 海老の風味が美味しいわぁ…

 ビール欲しいわね!


 さて、2人にも味見をさせて海老の頭の美味しさを知ってもらう。


 そして、その温まった油で海老を揚げる!

 サッと手早く。揚げすぎないのがコツね。

 余熱でも火が通るし。

 1分ぐらいで引き上げて半分に取り分ける。そして、取り分けた半分をもう1分ぐらい揚げるの。

 別のお鍋を火にかけてっと…

 海老油を軽くひくいて、薬味を入れま~す。

 豆板醤ベースの合わせて調味料も作っておく。

 そして、先に引き上げた海老を炒めるわ!

 薬味と軽く合わせて、合わせ調味料投入、煮炒めみたいにするの。

 とろみがついてきたら完成ね!

 みんな大好き!ご存知、エビチリね!

 

 それから。2度揚げした方のあら熱が少し取れてくるころだから、作っておいたマヨネーズに辣油をたらして一混ぜしてから海老を入れて絡めるわ。

 そう、これもみんな大好き、エビマヨね!


「わぁ、紅白で見た目がキレイですね!」

 そうでしょう、そうでしょう!

 でもね、わたしのエビチリはまだここからよ!


 軽く鍋を洗って、海老油を鍋に馴染ませる。

 そこに、ちょっと多めの唐辛子、豆板醤などを入れて辛みを引き立ててからさっきの頭を入れて、絡める。〆に辣油をたらしてっと!

 頭のエビチリね!辛いわよ~。でも美味しいからクセになるの♪


「さ、出来たわよ!食べよう♪」


 こうして、わたし達はみんなに黙って海老料理を堪能♪

 2人はエビチリとエビマヨに大満足ね。


 辛っい、けど美味しい四川の味を受け入れてもらえたわたしは、やっぱり麻婆豆腐が食べたい!


「よ~し、こうなったら海に行って苦汁を作るわよ!」


 あと、お魚の搬送も直させないと、ね。





 こうして、食い意地から海に行くことにしたわたしだけど、またまた海で問題が発生するなんてことは露知らず。

 美味しい物と、水着に浮かれてました。


 ホント、ただただ、麻婆豆腐が食べたかっただけなのに、何であんなことに…

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