第2話 敵将の首
土方が城下町を出た頃、シルバの元へ帝国軍が城を取り囲むように進軍していると情報が入った。
土方から降伏の手紙を何度も敵将に送り付けろと言われていたシルバは言われたとおりに帝国軍に降伏の書状を送り付ける。
「ブリガン様、魔王軍から降伏の書状が送られてきました」
「降伏だと。今さら総攻撃は止められん。この期に及んで降伏など受け入れられん」
ブリガンは魔王軍との戦いで名を上げた将軍であり、今回の戦いも総大将を任じられていた。
(誇りの高い魔族もこの戦力差に戦意を喪失したか……)
魔族の最後の砦を落とすことは本国よりの命令であり、ブリガンの意志で攻撃を中止することはできない。
しかし、拒んでも拒んでも魔王軍からは降伏の書状が届く。
「しつこい! 戦士なら誇り高く戦って死ね!」
ブリガンは魔王軍から届く降伏願いの書状に少し苛立ちを覚えた。
「ブリガン様、魔王軍から書状が届いております」
「またか……」
ブリガンは兵士が持ってきた書状を見ていたが、その兵士の鎧を見て少し違和感を覚えた。
「おいお前、魔王軍と交戦でもしたのか? なぜ甲冑に血がついている? 攻撃はまだ始まっていないはずだが……」
ブリガンが兵士に尋ねたその時、目の前の兵士は刀を抜き、ブリガンを斬り倒した。
「敵の大将を討ち取ったぞ! シルバに攻撃の合図を送れ!」
ブリガンを斬ったのは帝国軍の兵士に扮した土方であった。
土方は50人の兵士たちと城から逃げ出す町民の中に紛れ込み、森の近くでブリガンの兵士たちを密かに討ち取り、敵の甲冑を着て帝国軍に紛れ込んでいたのである。
「お前たち、ここからは存分に暴れろ!」
土方たちは帝国軍から馬を奪うとシルバたちと敵を挟撃するため、城に目指して進撃した。
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