15.永久機関。魔石をぐーるぐるして魔法陣にしよう。なんか思ったのと違うのができた。
人の手がかからず、物資を少なく、できるだけ長い時間動き続けるもの。
皆が求める永久機関
そんなふざけた技術を作るのはやはり魔石。魔法世界万歳、ファンタジー様々である。
「実際にはメンテナンスが必要になるだろうし、全くの手つかずにでいいわけじゃないから半永久機関とでもいうべきなのかしら?」
閑話休題。
今回の問題の突破口を開いたのは転生者ゆえの視点。
そもそも魔力って何なのよ?という疑問からの研究をしたことにある。
正直、よくある異世界ファンタジー話再びで、大気中に魔力の元になる魔素がある。あるんだけど……そのままだと人間には使えない。一度体内に取り込んで、人が使える形に変換・ストックされたものが魔力って感じ。個人の魔力量の大小は体内で変換できる量、そして貯めておける量の限界値で図っている。
魔石に関しても、定期的に
「なら魔力ではなく魔素で動く魔法式を作って魔石に込めれば、エネルギーにはおいて実質永久機関よね!」
どやぁ。
ちなみに、魔素自体の発見と魔力の関係の解明自体がこの世界において大発見であり、世界の常識が壊れた瞬間なので一大事だったことをここに記す。
そして、まずここでつまずいた。
魔法は最低限の整えられた術式の上に想像力で補う。
今まで認識されていなかった魔素という存在を認識して想像する。これがまた難しいこと。
「私だって今まで知らなかったものをいきなりあるものとして受け入れて考えろとか難しいもの」
そしてそれがもう一つの問題を生み出し、研究の手を止めた。
軟水と硬水の違い……。
「硬度って説明しても通じないのよ!!」
水に溶け込んでる物質ー?それを完全除去ならまだしも、適度に減らすってどういうことー?わけわかんな~い。(ギャル風に)
「うん、こうなるわよね。さすがの私も無茶振りしているって自覚したわよ」
事実、ガブリエラだってちょうどいい硬度まで減らすなんて想像がそう簡単に思いつかない。
とりあえず、実際に硬水と軟水の二つを飲み比べさせて水には違いがあるのだと認識させるところからスタートした。
小学校の理科教師になった気分を異世界で味わえるとは思ってみなかったわ。
あれこれと、ほかの研究者たちに教育を行った後、魔法式を作るのをメインに動くのがガブリエラ。それを封じ込める魔石の加工をほかの錬金術師や魔術師にお願いした結果。とあるものが生まれた。
「oh……マンホール?」
円形の金属板。
刻まれた溝とそこに流し込まれた魔石。
魔法陣。魔法板……マンホールにしか見えないものができた。
ま、まぁ、使えるのなら問題はないわっ!!
見た目はマンホールにしか見えないが、実際の使い方としてはろ過用の金属板膜だ。上から水を下ろして、この板を通ると刻まれた魔法で硬水が軟水になるといった仕組み。
硬度を減らすための過程の想像がどうしてもうまく思い描けなかったので、見た目で保管する形のやり方と魔法式を組んだら成功した。
ろ過するというやり方はこの世界にもだいぶ広まってきたので、そのほかの部分の難点さえ乗り越えればガブリエラ以外の……誰にでも同じものが作れるようになる……はず。
「あとはこれを世界にどうやって広めるか、ですわね」
うん、面倒ですわっ。旦那様っ、へるぷみー!
こうして、文字にすればあっさりと。実際にかかった時間は10年以上の研究成果が生まれた。その名も――。
――マンホール。
ガブリエラがつぶやいたあの一言。
それを聞いていたほかの研究者たちによって定着してしまったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます