スムースクリミナルされたけどリボーンできたからナックルパンチをお見舞いしにいくことにした
桜雪
序章 騎士団長編
第1話 王国最強の騎士
『ス・パゲティの物語を覚えている者は幸せである…』
時は乱世。
大陸の覇者とならんと野心渦巻く強者が旗を掲げては消えていく時代。
大小の国家が乱立する様は、沼に湧くリザードマンの屁の泡のように湧き、隣の屁と、くっ付いては膨らみ弾ける…。
消えた屁、後味の悪い香りも歴史という時間の流れに名も残すことなく、数多の強者が消えていった…。
そんな『ス・パゲテイ大陸』にある王国のひとつ『ペ・ペロンチノ王国』通称『ぺの国』国王『モブ・デ・ゴザール』辺境の木こりから斧一本で王国を成した剛の者である。
容姿は山賊の親分で間違いない『モブ国王』36歳。
今、大陸で最も勢いのある王国の国王として新聞・雑誌で取り上げられるほどの人物である。
「騎士団長殿‼ ダレヤネン騎士団長殿‼ 国王が、お呼びですぞ」
城壁のうえで青空を眺めている大柄な男が面倒くさそうに下で声を張り上げている白髪の臣下を見下ろす。
「今行くよ…ったく面倒くせぇ…」
騎士団長『ダレヤネン・ソーレ』恵まれた体躯、少し残念な容姿、性格は…まぁ…それでも『ペの国』最強の騎士であり、民の信頼は厚い男である。
王国最強の騎士としての自負はある。
14歳の夏の頃、マンティコア討伐に傭兵として志願し武功を認められて王から授与された『頑張ったで賞』あれから15年、順調に出世街道を歩み、騎士団長まで登り詰めたのだ。
民は彼を称え、口々に賞賛を浴びせるのだ。
「ペ・ペロンチノ王国に無敗の騎士団長『ダレヤネン・ソーレ』ある限り覇道は途絶えぬ‼」と…。
「ダレヤネン‼」
無駄に大声なモブ国王、ダレヤネンは嫌いというほどでもないのだが、苦手意識が顔に駄々洩れる程度には嫌いなのである。
「モブ国王、ダレヤネン参上いたしました」
「見たらわかるわ‼ ダレヤネン‼ 貴様、随分退屈しておるそうだな‼」
「いや…そんなことは…な…」
「ソコで貴様に退屈しのぎの任務をくれてやる‼」
(他人の話は最後まで聞け…)
「騎士見習い10人を連れて、洞窟を根城としているネクロマンサーを討伐してこい‼」
「はっ?今からでしょうか?」
「当然だ‼ 行け‼ すぐ行け‼ やれ行け‼ さっさと行けー‼」
玉座に座ったまま悪趣味に装飾された斧をブンブン振り回すモブ国王。
後、1分もしないうちに斧が自分目掛けて飛んできそうなので慌てて王室を後にしたダレヤネン。
ブツブツ言いながら甲冑を纏い、馬に跨る。
「おい…騎士見習い共‼ 任務は伝わっているな」
「はい‼ ダレヤネン騎士団長‼」
「うむ、では出陣‼」
「おーーーー‼」
城門を出て、メインストリートに出ると国民が大きな声で歌いだす。
『ダレヤネン・ソーレが~洞窟に入~る♪ ランプ係とー、傭兵達のー、後に入~る♪ 洞窟の中には~スケルトン群がる~♪ 五感もないくせに、何かを感じて、襲いかかる~♪ すると突然頭の上から~ 吸血コウモリ襲ってくる~ 何故か不思議なこ~とに♪ 鎧の上から噛んでくる~♪ コウモリの次は巨大サソリだー スケルトンを潰しながら突進してくる‼ ゆけ~ゆけダレヤネン・ソーレ‼ ゆけ~ゆけダレヤネン・ソーレ‼ ゆけ~ゆけダレヤネン・ソーレ♪ ドンとゆ~け‼」
民たちの合唱、それはダレヤネン・ソーレを称える歌。
かくして騎士団長ダレヤネン・ソーレは洞窟を根城にしたネクロマンサー討伐に出向いたのである。
時はマカロニ歴715年 夏。
鎧が蒸れる、むさくるしい季節であった。
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