【短編小説】思い出の公園
Yusuke Eigo
1章:公園
勇志「久しぶりに来たね、この公園」
風香「そうだね」
勇志「最後に来たのは一昨年か」
風香「そっか、もう2年も経つのか。大学を卒業して」
勇志「覚えてる?あそこのベンチ。講義終わりに一緒に座って音楽を聴いたの」
風香「ふふ、覚えてるよ。勇志のイヤホンを片方ずつ着けてね」
勇志「そうそう」
風香「そしてあれ!スマホ・フライング事件だよね」
勇志「ハハハ、あれか。俺がアニソンでテンション上がりすぎちゃったやつね」
風香「そうそう」
勇志「一番好きなアニソンが流れたときに、イヤホン着けているのを忘れて手を振り上げたら」
風香「スマホが飛んでいった」
勇志「あれは焦った。イヤホンのコードも千切れかかってた」
風香「私は一瞬、何が起こったのか分からなかったよ」
勇志「めっちゃ笑ったよな」
風香「うん、笑い過ぎてお腹痛かった」
勇志「懐かしいなぁ」
風香「懐かしいねぇ」
勇志「青春の1ページって感じ」
風香「分かる」
勇志「あ、青春と言えばさ」
風香「ん?」
勇志「今って、好きな人いるの?」
風香「す、好きな人?なに、急にどうしたの?」
勇志「いやさ、先月に電話した時、職場で出会いが無いっていってたじゃん?」
風香「うーむ・・・言った気がするような」
勇志「あれからどうなのかなって」
風香「それが実はさ・・・」
勇志「ほぅ、実は?」
風香「何もない」
勇志「え?」
風香「今も出会いはないんだよねぇ」
勇志「そうなんだ・・・そっか」
風香「勇志は?最近どう?彼女できた?」
勇志「彼女はいないな・・・でも」
風香「でも?」
勇志 「好きな人はいる・・・かな」
風香「そっか・・・好きな人いるのか・・・なんだかんだ言って勇志はモテるもんね」
勇志 「え?そんなことはないけれど」
風香「だって、大学の時に後輩の女の子からバレンタインチョコ何個も貰ってなかった?」
勇志「え?それ誰かと勘違いしてない?」
風香「あれ?違った?」
勇志「俺は大学時代、チョコは風香の義理チョコと母親からしか受け取ってないぞ」
風香「・・・そうだっけ?」
勇志「そうだよ」
風香「ありゃ・・・ずっと勘違いしてた」
勇志「勝手にモテキャラにされてた」
風香「これは失礼」
勇志「うん」
風香「あ、でも、義理でもちゃんと手作りだからね?」
勇志「覚えてる、貰った時、俺は嬉しかった」
風香「ふふ・・・それで、好きな人って?職場の人?」
勇志「えーと、そのことなんだけどさ」
風香「うん?」
勇志「あのさ」
風香「うん」
勇志「良かったら・・・俺と付き合ってくれない?」
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