第42話(再) エルド教


※前話エピソードですが、読者ニーズから大きく外れていると感じたため、カットしました。すみません。1/31





 だがある日、事件は突然起きたのだった――。

 

 なんと、王様が死去したのだ。


 王様は、前から病気だった。

 俺はアルトから、そのことをきいていたので、アルトに回復のオーブを定期的に渡してきた。

 アルトの手柄ということにして、王様の治療をしていたのだ。

 だが、それもここまでだったようだ。

 王様は、ついに寿命で死んでしまった。

 最善は尽くしてきたが、やはり寿命には勝てないようだ。


 ということで、アルトが王座を継ぐことになった。

 だが、そのせいで、まさかあんなことになろうとは――。



 ◆



「エルド様! ようこそおいでくださりました!」


 アルトはそう言って、俺のことを出迎える。

 こいつ、王になったというのに、俺のことをまだ様とかいってあがめるんだよなぁ……。

 俺は、アルトに呼ばれ、城にきていた。


「それで、なんのようなんだ?」

「じつはですね――」


 それから、アルトはとんでもないことを言い出したのだった。


「エルド教を作ろうと思っているのです……!」

「は、はぁ……????」


 俺は、なにを言われているのかさっぱりだった。頭の中がはてなでいっぱいだぞ。

 なにを言っているんだ、この若き王様は……?


「お、お前……自分が言ってることわかってるのか?」

「もちろんです! 俺は、せっかく王になったことだし、エルド様を崇め称えるエルド教を作って、国教にしようと思うんです! それが、それこそが、俺が王になったことの使命だと思うのです!」

「は、はぁ……?」


 おいおいコイツ……やべえよやべえよ……。

 さすがにアルトの忠誠心を高めすぎたのか?

 まさかコイツがここまで俺に心酔しているとは思っていなかった。

 エルド教ってなんだよ……。


「ちょっと待て、なんだその宗教は。そもそも、信者が集まるのか……?」

「当然ですよ! 集まるに決まってるじゃないですか! 少なくとも、うちの5万の兵士がすでに信者です!」

「すでに……!?」


 そういえば、魔王討伐のときに徴兵した5万の奴隷たちは、そのままアルトのもとで兵士として働いている。

 そいつらは、俺に欠損を治してもらった恩があるってことで、アルトと同じように俺に心酔している。

 じゃあ、そいつらが信者なのか……。


「それだけじゃないですよ! ドミンゴさんとかも、きっとエルド教に入ってくれると思います!」

「ま、まあ……そうだろうけど……」

「エルド様に救われた国民は、大勢います! 魔王を倒したのも実質エルド様ですからね!」

「うーんこの……」


 ということで、俺はなんか勝手に祭り上げられてしまった。

 まあいいや……もう勝手にしてくれ……。

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