解答と解説【第1問】
問一
警官が彼女を自殺しそうな人間ではないと決め付けたことを批判する一方、自分も同じ印象を持っていたから。
解説
「自己矛盾」とは「自分の中で論理が食い違うこと」である。「それは」が指示しているのは直前の「そういうレッテル張りが、人のこころを傷つけるんだ」という僕のセリフで、「そういうレッテル」はさらに前の「自殺しそうな人物像ではない」という警官のセリフを指示している。さらに遡ると、「少なくとも僕の理解では、彼女は自殺をするような人間ではなかった」と警官と全く同じ印象を持っていることが分かる。警官に対しては批判した彼女への印象と、全く同じ印象を僕自身が持っている点が「自己矛盾」なのである。
問二
理解不能な内容を一般に理解可能な形で提示された場合、誰もがさらに混乱することになるということ。
解説
可能な限り語彙の意味と指示関係を正確に読んでいく。「一般化」はここでは「全体に通用させること」といった意味。設問の前に「警官が、何か異国の言葉を話しているようにさえ聞こえた」とあり、「異国の言葉」は「一般化」はされていない。それに対し「字幕」は「異国の言葉」を「一般化」するものである。よって「一般化された言葉」は「異国の言葉のように理解できないものに、字幕をつけるようにして理解可能にしたもの」と言える。「ひも解く」は「書物を読む」意だが、ここでは前述の「一般化された言葉」を対象としているから「言葉の意味を理解する」くらいの意味であろう。最後の「誰だってそうなる」の「そうなる」は「もっともっと混乱する」を指している。「ひも解けば」の「ば」は順接仮定条件の接続助詞で、この直前の「字幕なんかが付けば」の「ば」と同じ。よって設問部は、実は直前の言い換えとなっていることが分かる。
問三
ウ
解説
「ア」は「それって本当に彼女なのかな。つまり、○○△△さんなんですか?」「ええ、本人で間違いありませんよ」というセリフから、この時点では警官は○○△△の話をしていることが明らかであり、不適。
「イ」は「その考え方を改めている」ことの根拠となる表現が本文中に無いため不適。
「ウ」は警官二人が「まだ本来の目的が達成していませんのでね」と言ってから集金人になっていること、また「先程、テレビを見ていたとおっしゃいましたね」という表現から、警官だった時からテレビの有無を意識していたことも分かるため、適切。
「エ」は「目を覚ました僕はすでに死んでしまっている」と断定できる根拠が本文中にないため不適。
「オ」は最後に「生きることなくして死んだ友人」とあり、「友人=○○△△」であるから、「生きることができなかった」「死ぬことができた」は確定で、「生まれる」については不明である。しかし冒頭に「②を欠けばそれは①が存在しないのと同義である」とあるから「生きることができなかった」のは「生まれることができなかった」ことと同義である。よって不適。
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