秘密の花園は危険な香りと共に。〜嵐を呼ぶおっぱい検査〜

「……それでは一斉検査を開始します!!」


 各クラスの列には生徒会の監査役が目を光らせていた。

 女生徒全員のスカートを脱がせるとは上手く考えた作戦だ。

 僕たち女生徒の羞恥心を逆手に取っているんだ。


 この光景を見ていると岩ばあちゃんが以前、話してくれたことを思い出した。

 日本で女性に下着が普及した理由を聞いて僕は悪い冗談かと思った話だ。


 洋服ではなく着物が主流の時代、女性は下着を着けていなかった。

 それが一気に普及したのは都内の有名デパートでの火災事故が原因だそうだ。

 高層火災で下に救助のはしごで降りる際に着物の裾がめくれて下半身を見られるのを恥じた女性が逃げ遅れて亡くなった事故にたんを発している。


 自分の命より女性の恥を最優先したんだ、今ならとても考えられないことだが、

 この聖胸女子に強烈に植え付けられている教え、恥を知れ!! の教義も同じだ。

 生徒会長はマインドコントロールを良く心得ているようだ。

 抜き打ち検査を嫌がってもまさかパンツ丸出しで外には逃げ出せないからだ……。


「なっ……!?」


 パサッ、パサッ、パサッ……。


 軽い衣擦れの音が講堂中に響いた。


 周りの女生徒が一斉に制服のスカートを脱ぎ出す、それは異様な光景だった。

 まるで可憐な花を散らすように大勢の女子生徒の足元に丸く脱ぎ去ったスカートの輪が広がるのを僕は茫然ぼうぜんと眺めるしかなかった。


「……どうしよう、このままでは康恵ちゃんの秘密が白日の下にさらされちゃうよ」


 生徒会の監視役に気付かれぬようそっと様子を伺う。

 名前のあいうえお順で並んでいるので大迫おおさこの僕より、三枝さえぐさの康恵ちゃんのほうが順番が後になるが、ア行とサ行では時間差はあまり無い……。


 その時、制服の胸ポケットが震えた、携帯の着信だが、集会の最中に取り出すことは出来ない、どうしよう……。


「次、早くスカートを脱ぎなさい!!」


 とうとう僕の順番だ、観念してスカートのホックに手を掛ける。

 するり、と僕の下半身からスカートが脱げた。

 下腹部が講堂の冷気に晒される、女子のスカートを穿いて驚いたことは

 それ自体で結構防寒着になる、ずっと男装だった僕は新鮮に思えたんだ。

 スカートの中ってこたつの布団みたいなモノでそれだけでも保温効果があるんだ。


 にゃむ子さんが選んでくれた清楚な白いショーツ、ローライズではないのが幸いだった、まさか人前であらわになるとは思わなかったがおっぱいにばかり注目して下半身がおろそかだったな。これから注意しなければいけない、潜入しているからではなく女の子のたしなみとして……。


 そうだ、にゃむ子さんが当初用意した下着はとんでもないモノだったな。

 昨晩、にゃむ子さんの部屋で見せて貰ったんだ。



 *******



『えっ、何で男の子じゃないのに前に穴があいてるの? 教えてにゃむ子さん』


『ふっふっふっ、まさみん、その穴はね、おじさんが手取り足取りで教えてあげようか、ええか~、ええのんかっ!! にゃむこうでおま♡」


 にゃむ子さんが自分のタンスから何かを取り出した、何だアレは、松茸のおもちゃ!? もう一方の手にはあんま器みたいなモノ!?

 ひえっ、何か先端が激しく振動してるよぉ、だんだんにゃむ子さんが僕ににじり寄ってくるんだけど顔が怖いよ、にゃむ子さん……。


「阿呆おねえっ、本気で◯ろすぞ!!」


「ふにゃ~ん、こ◯さないでぇ!!」


 りっつ子さんに全力で阻止された、おもちゃで何をするつもりだったんだろう!?

 おままごとかな、正美まだお子ちゃまだから全然分かんないな……。



 *******



 あっ、監視役が列を離れたぞ!! 今が携帯を見るチャンスだ。

 携帯を胸ポケットから取り出す、ショートメッセージが入っていた。

 にゃむ子さんからだ、何々、今からりっちゃんと助けに行くよん♡ だって。

 一体どうやってこの監視下で救助に来る気なんだ、にゃむ子さんは……。


「次、何をしている、早くスカートを脱がないか!!」


 何ことだ、怒号を聞きつけて振り返ると騒ぎが起こっていた。

 白い腕章を付けた生徒会監視役の数人に囲まれ詰め寄られる女生徒がいた。

 あれは三枝康恵さえぐさやすえちゃんだ!? 僕の不安が現実になってしまった……。

 

「お前、その反抗的な目は何だ!? 生徒会に従わない気か!!」


 生徒会の監視役が更に語気を荒げるが、康恵ちゃんは一歩も引こうとしない。

 固く結んだ唇には強い意志が感じられ、眼鏡の奥に怒りの炎が見て取れた。

 でも駄目だ、ここで生徒会に楯突いたら康恵ちゃんの正体がバレてしまう!!


「言うことを聞け、このメス豚が!!」



 次回に続く。

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