ねえ少年、黒船級なGカップおっぱいは好きじゃないの? 

番台ばんだいにゃむ子だよ、これからよろしくにゃん!!」


 ええっ、にゃむ子さんが康一の指導係!? 


 これは大問題だ!! 僕、大迫正美おおさこまさみは予想外の展開に驚いてしまった……。


 番台にゃむ子さんは亀の湯の従業員の中で一番おっぱいが大っきいんだ。 

 確か、にゃむ子さんのブラジャーのサイズはGカップでバストのサイズは大台の100超え!!  

 これはライオンのおりにホルスタインの牛を放りこむのと同じだよぉ。


 理由あって男装女子な僕は高校二年生。普段はおっぱいを隠して生活しているけど、普通の女性より胸に負担が掛かるからバストケアには人一倍気を使うんだ……。


 にゃむ子さんは住み込みで働いていて僕とは仲良しで男装女子の秘密も知ってるから、気軽におっぱい談義も出来るんだ。にゃむ子さんからGカップはグラビアアイドルにも多いサイズなんだよ♡ って教えてもらい、こっそり部屋でそのたわわなおっぱいを触らせてくれるような仲なんだ……。


 いやいや、ほっこりしちゃ駄目だ。いくらにゃむ子さんと僕が仲が良くてもこれは別問題だ!!


 おっぱい星人の康一がにゃむ子さんの爆乳に反応しない訳がない。

 さっきも頭の上におっぱいを載せられて即、昇天しそうな勢いだったし……。

 これは僕が身をていしてでも未然に阻止しなきゃ!!


「お祖母ちゃん!! にゃむ子さんが康一の指導係なんで本気なの!?」


「ああ、本気も本気じゃ、番台を極めるなら、にゃむ子以上の適格者は亀の湯にいないからのう……」


「ううっ、確かに……」


「えへっ、にゃむ子、おいわさんから褒められちゃった♡」


 岩お祖母ちゃんにまったく返す言葉が見つからない……。


 番台という珍しい名字からも分かるとおり、彼女は由緒あるり人の末裔まつえいだ。

 亀の湯創設時から番台の守りを先祖代々、になってもらっている。


「ただし小僧、最初から神聖なる番台には座らせんぞ、まずは三助さんすけ見習いからスタートじゃ!!」


「合法ロリばあちゃん、さんすけって人の名前か何か!?」


「たわけ!! 小僧、その呼び名はやめろと言ったはずじゃ、にゃむ子、この阿呆でも分かるようにお前から教えてやれ……」


「はいは~い!! お姉さん待ちくたびれちゃたんだよ……。にゃむ子、見てのとおり人よりちょっとおっぱいっがおっきいでしょ、ずっと立ちんぼだと重みで肩がこるのぉ、少年、ちょっときみの肩を貸してね!!」


 ずしっ、むにゅむにゅ♡


「どわあああっ、お姉さんのおっぱいが俺の肩にっ!? お、重いっ、何てボリューミーなおっぱいなんだ!! そ、そして服を通しても伝わる柔らかさと温もりがっ!!」


「わかるぅ少年♡ だからにゃむ子、いつも肩が凝っちゃうの……」


「も、問題ありません!! ぜひ俺の肩を使ってくださいっ!! この乾いた東京砂漠、皆がストレスMAXなんです!! そう、疲れた鳥さんが羽を休める止まり木のように……。にゃむ子さん、貴女あなたのおっぱい置きレストとしてご活用ください!!」


「このっ、阿呆コーイチが!!」


「げふうっ!!」


 しまった!? 思わず康一を殴ってしまった。それもグーパンチで……。


「あらあら大変!! 少年が泡を吹きながらピクピク痙攣けいれんしてるのぉ。

 これじゃあ三助の説明が出来ないんですけど、どうしましょ……」


 自分が原因なのに、にゃむ子さんはまったく悪びれた様子がない。

 でも本当に他意は無いんだ、この笑顔、やっぱり憎めない人だな……。


「黙って聞いていれば騒がしいのう、これでは先が思いやられるのじゃ。

 正美、にゃむ子、さっさと母屋の空いている部屋に運んでおけ。小僧はそこに住まわせるのじゃ……」


 ええっ!! 康一がウチに住むって!? そんな話全然聞いていないよぉ……。


「お祖母ちゃん!! 康一の了解もなしに勝手に決めちゃうの!?」


「正美、何も問題なかろう、ウチは元々シェアハウスも併設へいせつしておる。部屋なら文字通り貸すほど余っておるからな」


「そういう問題じゃなくて、いきなり過ぎるから……。僕の心の準備とか、い、いろいろ出来てないんだよ」


「まさみん、男の子と同居で照れてんのぉ、よっ思春期、思春期!!」


「にゃむ子さん!! 茶化さないでよ、僕は康一の心配をしてるの……」


 彼女に僕の気持ちを見透かされた。もちろん心配もあるけど、どまどいの理由は、僕の康一への秘めた想いだ……。


 これまでおっぱいを隠すように僕は気持ちも封印してきた。

 彼の前ではいつも押しつぶして隠していたこの乳房。

 今まで窮屈に感じていたおっぱいを康一のために使う、そう決意したはずだ。


「おっ、水戸黄門の再放送が始まる時間じゃ、儂は先に戻るでの。にゃむ子、小僧の解毒げどくも忘れるでないぞ……」


「らじゃ!! らじゃ!! にゃむ子にお任せあれ♡」


 お祖母ちゃんは大浴場を後にする。見た目は小学生だけど中身は後期高齢者なんだよな、岩ばあちゃんって……。

 でも不思議なことに身体は若いけど好みは渋いから大好物の黒ごま月餅、あとでお部屋に差し入れしてあげよう。



 *******



「正美ちゃん!! 彼、お部屋に運んじゃおっか……」


 気が早いにゃむ子さんが康一の身体を後ろから抱き上げようとする。


「あっ!? ちょ、ちょっと待った。にゃむ子さんは康一の足を持って」


「え~~何で!? せっかく持ち上げたのに……」


 面倒くさそうに、にゃむ子さんが康一を床に寝かせた。

 ふうっ、気付かれてないな。だって僕が康一の上半身を担当しないと、

 にゃむ子さんのGカップおっぱいに康一の頭が埋もれちゃうじゃない。

 子供っぽい嫉妬心が芽生える。にゃむ子さんよりおっぱいに嫉妬するなんて……。


「そうそう、まさみんは呪いの解毒法って知ってるよね……」

 呪いの解毒法? それは初耳だ……。


「にゃむ子も初めてなんだけどぉ 発症した呪いによって違うらしくて男と女、部位によって千差万別でおいわさんから貰ったメモに書いてあるみたい。なになに、あくまで一時しのぎで定期的な解毒の儀式が必須とぉ……」


 にゃむ子さんがメモを読み上げ始めた、お岩さんとはお祖母ちゃんの名前だ。


「まさみん、にゃむ子、分かんないから続きを読んでくんない……」


「どれどれ、お祖母ちゃんが図解で書いているね、んっ!?」


 メモを見て僕は腰を抜かしそうになった。

 これは絶対、にゃむ子さんには任せられない……。


 ワナワナとメモを持つ僕の手が震えた。


「呪いの対象者におっぱいを見せなきゃ駄目って……。な、何なの、この解毒法は~~!!」 



 解毒の儀式な次回に続く!!

 



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