第4話
「「ひいぃっ!!」」
「あらあら、アーモンド公爵令息も、キャンディ伯爵令嬢も顔色が悪いわ。大丈夫?あぁ!でも、大丈夫よね!!だって、貴い血の流れるお貴族さまの子供だものね!!」
ミルフィーユはパンと手を叩いて、嬉しそうに笑った。そして、今まで散々ミルフィーユの生まれを馬鹿にしてきた貴族の名前を読んでいく。
「キャラメル侯爵子息に、アイスクリーム伯爵令嬢、チョコレート男爵令嬢に、モンブラン公爵令息、イチゴケーキ伯爵令嬢に、フラペチーノ男爵子息。わたくし、これでも一応王族の端くれなの。これまでの暴挙、覚えておいた方がいいわよ?」
へなへなと崩れ去った貴族を冷たく見下ろしたミルフィーユに、これまでミルフィーユを馬鹿にしていた貴族たちが狼狽え、発狂し、崩れ落ちた。中には失神してしまったご令嬢さえもいる。
「みーちゃん、流石にこれはやりすぎじゃないかな?」
「そんなことないわよ。これくらいしなくちゃ、王族が侮辱されるのは異常事態だってことを愚か者たちに知らしめられないわ。ふふふっ、それにね、わたくし怒っているの。だからね、例え泣いて喚いたって許してあげない」
「あぁー、あぁー、なんてことだ。誰がこの、眠れる獅子を起こすなんて暴挙をしてしまったんだ………」
額を抑えてうずくまった王太子ルイボスに、ミルフィーユはニコニコと笑った。今までは侯爵夫人の言う通りに大人しくしおらしく、美しいご令嬢を演じていたが、もうその必要はない。よって、ミルフィーユは暴走し放題なのだ。
「みーちゃん、………こんな時だけど、僕の小さい頃からの夢を叶えていい?」
うずくまったまま顔を覗かせて真っ赤な顔で頼んできたルイボスに、ミルフィーユはキョトンと首を傾げた。なぜ絶対王政を引いているこの国で、王族が他人に許可を取るのだろうか。
ミルフィーユは必死になって頭を回転させて、1つの答えへと行き着いた。
「? ………あ、そう言うことね!いいわよ!!」
(貴族への罵倒をやってみたかっただなんて、品性方向なルー君らしくないけれど、たまには暴れてもいいと思うのよね!!これでちょっとでも、ルー君のストレスが減ったらいいのだけれど………)
「!? いいの!?本当に!?」
きらきらとした髪を揺らして、爛々と顔を輝かせるルイボスに、ミルフィーユはこくんと優しい表情で頷いた。
「えぇ」
(無能はちゃーんと心をバッキバキに折って、ゴミ箱に捨てておかないといけないしね)
「じゃあ、遠慮なく。みーちゃん、僕の言葉に『はい!』って元気よくお返事してね」
「? えぇ、分かったわ」
ルイボスに深い策略があると考えたミルフィーユは、厳かに頷いた。
ミルフィーユはルイボスのことを心の底から信頼し、信用し、そして大事に思っていたのだ。
ミルフィーユの頷きをもらったルイボスは、幼い頃の無邪気で元気いっぱいな笑みを浮かべてくしゃっと笑った。ミルフィーユはそんな笑みを見て、久しぶりに彼に初めて出会った日を思い出した。
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