第27話 サロンの真実 勇者SIDE



「お前等、三人でちょっとオーガでも狩って来いよ!」


「なんで私達だけで討伐しに行かなくちゃいけない訳!」


「そうよ!可笑しいわ」


「4人ならいざ知らず、自分は討伐に行かない訳か?ふざけるな! 今日はカイトお前1人で討伐に行って来い」


「何だと! 俺は勇者でリーダーだぞ」


「ええっ、そうですね、だからこそ、自分が道を示すべきです」


「そうだよ、今のカイトは最低だ」


「夜遊びばかりして、少しは旅を考えたらどうだ」


「お前等…もう良い。取り敢えず今日は休みだ!勝手にしろ!」


「ええっ、そうさせて頂くわ」


「そうね」


「ああっ、そうさせて頂く」


此奴ら全く使えねーな。


リヒトならきっと、軽く討伐してきて報告書を仕上げて提出位してくれたろうに。


結局、戦力以外で一番使えたのはリヒトじゃねーか。


仕方が無いな。


認めるしかねー。


『彼奴は優秀だった』


だが、俺達は北、彼奴は南。


『もう会うことは無い』そこまで言って別れたのに不格好だ。


だが『連れ戻す』ことも考えるべきだろうな。


ハァ~あいつ等、本当に使えないな。


戦闘で必要じゃ無かったら、今すぐ追放してやるのに…


◆◆◆


今日も俺はサロンに行く予定だ。


あいつ等3人も何やら夜遊びしているようだ。


俺みたいにサロンを使うなら兎も角、バレたらどうするつもりなんだ?


ましてあいつ等は男じゃ無くて女だ。


もし妊娠でもして戦闘に問題が起きたら重要問題だ。


そうしたら、責任追及でもしてやるか。


しかし、サロンは凄い。


あちこちの街にあって、リヒトの奴、その全てのアドレスを『楽しい夜の冒険のしおり』に落とし込んであった。


他にも『セレブご用達のカジノ』や、何やら俺が楽しめそうな物が沢山記載されている。


『こう言う事が出来るなら、もっと早く出せ!そう言いたい。そうすれば追放なんてしなかった』


流石にこの街に1週間。


そろそろ、次の街に向かうべきだ。


だが、移動するなら二つの街を飛び越えてノースランドまで向かう必要がある。


そこには又別のサロンがあるからな。


◆◆◆


「ようこそ!勇者カイト様、紳士の社交場サロンにようこそ!」


「いつも出迎えありがとう、これはチップだ!」


「お心付け、ありがとうございます!」


「良いって事よ!それより頼んで置いたタイプの女性は用意できたか?」


「はい、お話の通り、今宵は貴族の令嬢、シスタータイプの女性でございますね…ご用意出来ております」


「本当に此処は凄いな」


「此処はサロン…お客様の欲望や夢を叶える場所でございます」


そして、支配人だか、執事だか解らないこの男の対応。


俺の欲しい物は全部用意して貰える。


俺は暫く、エルフとダークエルフに二色丼を楽しんでいたのだが『『令嬢系』『シスター系』の女性の方が濃厚に楽しめる』そう勧められた。


そして、昨日予約を入れておいた。


今迄の二人は最高だった。


だが、リヒトが用意してくれた『楽しい夜の冒険のしおり』には同じ女性ばかり指名するのは良くないと書かれていたので、そろそろチェンジを考えていた。


理由は


1. 女性が選び放題なのだから、チャンスを減らすのは勿体ない

2. 女性に気持ちが移ると旅がしにくくなる


その二つだった。


確かに『体を併せると情が移る』その通りかも知れない。

しかし『楽しい夜の冒険のしおり』を読めば読むほど、リヒトの凄さが解る。


まぁ良い。


今は、取り敢えず楽しもう。


「「「勇者様ぁ~」」」


何処からどう見ても令嬢やシスターにしか見えない。


此処は本当に凄いな。


俺の理想の女と世界が此処にある。


◆◆◆


【聖教国リキスタン】


「しかし、随分とリヒト殿は凄い事を考えるものですね。本当にあれで15歳なのでしょうか?」


「我々聖職者もそうですが『かなり、遊びに通じた者でもこれは思いつかなかった』そう考えると、どう考えても15歳の少年が考えたとは思えませんでした」


「ですが、裏はとれたのでしょう?」


「はい、明らかに背後関係は無いとの事でした」


「まさか、15歳の少年が単独でこんな事を考えるとは、末恐ろしいものですね」


リヒト殿が考えた『サロン』と『ロマンスクラブ』計画。


勇者パーティの『しもの管理』をまさか聖教国リキスタンとリンドール王国にさせようとはよく考えた物ですね。


『最初は馬鹿げている』そう思っていましたが、まさかこんな利便があるとは驚きました。


我々、聖職者や貴族の中には『勇者』や『聖女』『賢者』『剣聖』に拘わる者も多くいます。


実際に『勇者』の力は引き継がれない。


それは誰しもが知っていますが、それでも『勇者の子』というのは価値があるのです。


『聖職者』『貴族』にとっては喉から手が出る程に。


前の勇者は女で上手く利用方法が思いつきませんでした。


勇者が『妊娠』など醜聞にしかなりません。ですが、今回は男。


幾らでも『種付け男』いわゆる種馬に出来ます。


容姿の良い貴族の令嬢やシスターはそのまま抱かれ、容姿に自信の無い者は『代役』を建てて運よく妊娠すれば、その子を買い取る。


ただ、この事の為だけに作られた場所…それがサロン。


今迄『そんな物は無かった』


さも、昔からある様に見せかけて…勇者に使わせる。


「ええっ、なかなかの知恵者かと思います」


「これで、教会は彼に大きな借りが出来た…そういう事ですよ」


「幾つかの頼み位は聞かなければならない…でしょうね」


彼には監視をつけています。


やがてこの聖教国リキスタンに来た時には会う必要があるかも知れませんね。









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