第10話 楽しい冒険のしおり



しかし、カイト達は大丈夫なのだろうか?


まぁ一応は『しおり』を作って置いたから、自分達でどうにかするよな。


社会人は引継ぎが重要だからな。


まぁ幾ら心配した所で、もう会うことは無い。



◆◆◆


「おい今日の宿は何処だ?」


「ミルカ、何処かしら?」


「何処かしらと聞かれても宿なんて私知らないよ?リダがとったんじゃ無いの?」


「私、そんな面倒くさい事しないぞ」


「おい…それじゃ誰もとっていないのか?」


「そう言うのはリヒトが…あっ」


「「「どうした?」」」


「私、リヒトから手紙というか、冊子貰っていたわ」


「ミルカ、それ読んでみろよ!」


「幼馴染リヒトが教える『楽しい冒険のしおり』って書いてあるよ!」



◆◆◆


『幼馴染リヒトが教える『楽しい冒険のしおり』』


【街に着いたら】


1. すぐに宿屋の予約だ。夕方にはもう埋まるからな。

もし、どうしても無理なら教会…但し夜のお祈りと奉仕を翌日させられるぞ!


2. 洗濯が嫌なら冒険者ギルドだ。袋1杯銅貨3枚で洗濯してくれるぞ。但し高級品は駄目だ


3. どうせ家事が嫌なんだろうから外食にするんだろう? 時間をずらしただけで空いている状態で飯が食えるぞ


【メンテナンス】」


1. 装備は街に着いたら武器屋に持っていき整備が必要だ


【報告】


1. 必ず3日間に1度は中央教会に報告の連絡をする。教会に出向き通信水晶を使う。偶に教皇様が出るから注意だ


2.  アカデミーからの依頼品は必ず手に入れたら提出する事。


3. 場所によってはその地の貴族に挨拶をし援助を取り付ける。


など、など…


◆◆◆


「嘘だろう、これ100項目位あるじゃねーか?」


「え~と、これ手分けしてやらなくちゃならないの?」


「ねぇ~やっぱり、リヒトに戻ってきて貰おうよ」


「無理だ…リヒトは、もう戻らないと言っていた。しかも、今生の別れみたいな事を言っていたのに、流石にそれは無いだろう?」


「リダの言う通りだ。きっと彼奴は村に帰るか、何処かで他のパーティに入っている。もう無理だな」


「「「そうだね」」」


俺達はニコニコ顔のリヒトの笑顔が書いてある『楽しい冒険のしおり』を見ながら…


『何故か悔しい』


そう思ってしまった。



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