第31話
「ぅう『ダークヒール、ダークヒールぅ』ぅうっ、ひぐっ」
「よーしよーし、痛かったねぇ、頑張ったねぇ。えらいえらい」
吹っ飛んだ地面の上。頭を撫でられながら、俺はひん曲がった腕にヒールをかけ戻してゆく。もうやだ怖い。こいつのスキル怖い。痛いのやだ冒険者やめるぅ。
「はぃぎゅー」
……冒険者続けるぅ。
ミュゥの胸の中でポロポロと嬉し涙を流す俺の元に、爆音を聞きつけた農婦さんが駆けてくる。
「ちょ、何があったんだい⁉︎」
「おにーさんが頑張りすぎちゃって、ほらよしよし」
「しくしく、しくしく」
農婦さんは頭を掻き、地面に突き刺さったミノさんをツンツンする。
「み、見かけによらず凄いね君達。まぁ何があったかは分かんないけど、討伐完了だね」
「畑こんななっちゃったけどぉ、だいじょーぶ?」
「しくしく」
「問題ないよ。食われるのも前提で作ってるからね、このくらいはね。……ちょっと驚いたけど」
「しくしく」
「ありがとー、ほら行くよロリコンおにーさん」
「うしっ。帰るか」
俺はキリっ、と立ち上がり、ジト目を向けてくる2人など無視してミノさんを叩く。はてさて、どうやって持ち帰るかこれ……。
「よければ送ろうか?」
「え、いいんですか?」
「ああ、それくらいわけないよ」
そう言われ荷車にミノさんを縛り付けた俺達は、農婦さんの馬に引かれ街へと戻るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます