ガチャ1003回目:うつろう興味

「じゃ、気を取り直してもう1つの宝箱だな」


 残っていた『プリズムの宝箱』に手を伸ばし、触れてみるが……やはりこちらも選択肢は出なかった。となれば、ベリアルはこの中身を知ってるわけだよな。さっきから微妙そうな顔をしている。

 んじゃ、ご開帳っと。


「……ふむ?」


 中身は案の定暗闇だったので、手を突っ込み探ってみるが……この感触は、長物か? 武器である事は確定しているので、あとは種類が問題だったのだが……。

 今までの武器傾向からして、長物で考えられるのは、槍、大斧、鎌、杖、鞭ってところか。

 槍はもうグングニルで満足してるから他のがいいけど、他の武器種は軒並み俺が使える武器じゃないんだよなぁ。


「……ふぅ、覚悟を決めるか」


 長物と分かった途端期待値が薄くなりやる気が激減していたが、手を突っ込んだ以上取り出さなくてはな。俺は一気にそれを引き上げた。


「おお……? 杖、かな」


 名前:アスクレピオスの杖

 品格:≪幻想≫ファンタズマ

 種別:杖

 武器レベル:86

 説明:生命と権力の象徴にして、究極の幻想と癒しの力を持つ天上の杖。幻想系統と癒しの魔法を使用時、効果が2倍となり、規模だけでなく解釈も拡大される。


「杖、かぁ」


 サポート特化と考えれば破格の性能をしているし、普通に強いんだが……。どう考えても、直接戦闘向きの武器というか、振り回して良い武器ではないな。武器レベルから考えれば、振り回すだけでも格下の品格相手には無双できるだろうけど、いかんせんコイツは装飾が多すぎて、ハンマーみたいに使うのも向いていないし……。

 うん、色々考えたが俺が使う余地は全くないな。


「お兄ちゃんには残念な結果になったね」

「お兄様、元気出してっ☆」

「お兄様の『運』が良くても、確定事項は変えられませんし、こういうこともありますわ」

「ん。よしよし」

「ま、その内良い武器に巡り会えることを信じてるさ」


 嫁達に慰められると、悲しみはどこかに飛んで行った。俺も大概チョロいな。


「にしても、これがベリアルの宝なのか。なんというか、お前らしからぬというか、違和感があるんだが」

『当然だ。これは我の物ではない』

「ん? じゃあ……リリスのママのか」

『はいです、おにいさん』

『ま、正確に言えばそれも貰い物だけどねー♪』

「ふーん?」


 まあそれは良いとしてだ。これの持ち主に相応しいのはやっぱりヒーラーであるべきで。


「マリーかイリーナか……。どっちが良いと思う?」

「そうですねぇ。優先して回復するべきは勇者様なんですけど~」

「お兄様が怪我をする場面を想像するのは、難しいですわ」

「まあ基本回避が主体だからな」

「無敵と一定ダメージカットのスキルを覚えても、それに甘える事なく戦ってこられましたから、そうそう被弾する事はないと思うんですよね~」

「ですがもしもの時の事を考えて、マリー様が持っていた方がいいかと」

「そうだよー。解釈拡大なんて難しい事は分からないけど、マリーさんならお兄さんがどんな傷を負っても治せるって事でしょ?」

「そうですね。マリーさんが持っていてくれた方が安心できます」

「我々が攻撃を受けなければ済む話ですから」


 それを言うと俺もダメージ受けなきゃ問題ないんだけどな。


「んじゃま、間を取って普段はマリーの『魔法の鞄』に入れておいて、必要になりそうな場面があれば端末から連絡入れて、アイラ辺りが杖を移動させればいいんじゃないかな」


 今は日本国内全部もそうだけど、俺達が踏み入った海外のダンジョンも、『超広域位相電波塔』のおかげで通信が可能だからな。割とリアルタイムでいつでも情報のやり取りが可能だから、こういった荒業というか、『幻想ファンタズマ』の貸し借りも可能だろう。


「良いですね!」

「では、そうしましょうか」

「はいけってーい!」


 んじゃ、これで確認するアイテムは全部終わったかな。


「あ、ご主人様。先ほどは提出し忘れていましたが、最後にこちらのドロップアイテムを」

「ん? これは……王冠か」


 確か、スライムが落としたやつだったな。


 名前:アシッドスライムの王玉冠

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:王冠

 説明:アシッドスライムの王が持つ玉冠。その威光は数多のスライムに対し効果を発揮し、装着すれば全てのスライムが首を垂れ、装着者が襲われる事はない。

 ★攻撃後は敵対され、一定時間の間玉冠の効果が喪われる。


「ほう、つまりこの王冠をかぶっている間は、スライムから襲われなくなるのか」


 それはまあなんとも……魅力的なアイテムだな!!

 一応これは防具ではなくアイテムだから、装着したところで品格以外での防御効果は見込めないのは残念ではあるが、元より回避が主体の俺だ。スライムを相手に観察をする事ができる環境で、俺がてこずるような事など、そうはあるまい。


「ふふ、ショウタさんが楽しそうです」

「やっぱりスライムといえばショウタ君の原点よね~」

「ご主人様に見せて正解でした」

「あとはこのアイテムが活躍できる場があれば良いんですけれど……。あ、そうですわ。クリスさん!」


 アヤネが何かを思いついたのかパァっと顔を明るくした。


「どうなさいました?」

「今なら、旦那様にアピールするチャンスですわよ!」

「ええと? ……あ、そういうことですね。ショウタ様」

「んー?」

「わたくしのダンジョン、海がメインだとお話したことがあったでしょう?」

「ああ、そうだな」

「実は、クラゲみたいに海中を泳ぐスライムがいますの。興味ありませんか?」

「ある!!」


 そうして、次に攻略するダンジョンが決定した。

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