ガチャ987回目:威厳も何もない
俺達は無人の謁見の間を観察したが、本当に誰もいなかった。普通こういうのって、ボスが待ち構えているのんじゃないのか? タマモみたいにさ。
「なあリリス」
『はぃ……』
「ここが一応ボス部屋なんだよな?」
『そうです……』
「いないんだけど」
『えっと、そのぉ……。ごめんなさいおにいさん、お父さまはおそらく、自室で……』
『酒盛りでもしてるんでしょ』
酒盛り?
「酒盛りですか?」
あ、マリーが食い付いた。
『はぃ……。2週間ほど前に会ったんですけど……』
2週間前って、丁度2回目の結婚式を挙げてる時じゃん。
『その時はスタンピード発動までの時間が近付いていたのと、ダンジョンがある街の権力者が外国に向かったという情報を得て、お父さまは勝利を確信したそうなんです』
「あー……。確かに教皇猊下はうちに来てたな。それをトップがギリギリになって逃げ出したと誤認したわけか。……ん? リリス、その偵察ってのは?」
『はい、私達サキュバスが放っている使い魔からの情報です。他国までは飛ばせませんが、ウスティカ島からバチカン迄でしたら何とか情報網を構築できていましたので、そこから情報を得ました』
「俺が来たこともそれで?」
『はい。ただ現地に放っていた使い魔が、神聖力の塊が爆発したかのような衝撃を受けて消失してしまったので、詳細までは分からなかったのです。ただ、以前にいた聖女が戻ってきた可能性があるという事で、私が5層で待機してました』
「なるほどな」
それの報告をせずに五層で待機し続けていたのは、普通ならすぐに挫折した五層まで降りてくるものだと踏んだからだろう。けど、攻略に来たのは上から順番に攻略することを是とする俺達だった訳で。
だから結局いつくるか分からないままずっと待機せざるをえなくて、魔王にまで情報が届いていなかったという事か。
『あれも、おにいさんのお力だったんですか?』
「そうだよ」
『ふわぁ……♡』
蕩けた顔をするリリスを撫でつつ状況を整理する。
まず、奴はここ数日か2週間も前からかは知らないが、作戦勝ちが決まったと高をくくって、一足先に勝利の美酒に酔いしれていたという訳だ。しかもまあ部下を集めているわけでもなく、1人で部屋で。なんというか、寂しい奴だな?
「ふーむ。アズ、この場合どうしてやるのが効果的かな?」
『リリスに呼んで来てもらうのも情けなくて面白くはあるけど、どうせならビビらせたいところよね~。そうでもなきゃ、テレサ達の溜飲も下がらないでしょ』
「アズさん……」
「そうだな、じゃあそうするか」
ならフルブーストのフルプレッシャーをするわけだが、この謁見の間……奥に続く小部屋が2カ所、玉座の左右にあるんだよな。どうせなら全方向に垂れ流すんじゃなくて、指向性を持たせた方がより効果的だろう。
「アズ、そいつはどっち方面にいるんだ?」
『左ね』
「OK。んじゃいくぞー……フルブースト! ……フルプレッシャー!!」
『ズズズンッ……!』
部屋全体が地響きのように揺れ、地面や壁に無数の亀裂が生じ、嵌め込まれたガラス窓は粉々に砕け散る。
あとはこの全方位に荒れ狂ってる暴力的な圧力を、左手に続く通路に向けて……!
『うおあああ!? な、な、何事だ!?!?』
お、出て来た。
にしてもアレが魔王か……。威厳も何もあったもんじゃないな。
「酒盛りしていると聞いてはいたが、フラフラになるまで飲んではいなかったみたいだな。それとも、耐性持ちか?」
『な、なんだ貴様は! ……に、人間、なのか?』
そこは疑問に思わないでほしいんだがな。
「人間だよ。そういうお前は魔王だな?」
『そうだ。我こそは邪悪と罪の先導者、ベリアルである! 頭が高いぞ人間よ!』
「うるせえよ」
『ぬうっ……!』
言葉に怒気と圧を重ねて投げかけると、それだけでベリアルは半歩下がった。相手も結構強そうなのに、やっぱこの状態の俺って、かなりヤバイ状態なんだな。……一応解除してから視ておくか。
*****
名前:魔王ベリアル(ダンジョンボス・強化)
レベル:1000(+200)
腕力:14400(+2400)
器用:13200(+2200)
頑丈:10800(+1800)
俊敏:13800(+2300)
魔力:∞
知力:7200(+1200)
運:なし
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武技スキル:四天滅殺、撃龍葬、神速天、閃華絶槍
装備:黒き魔王の鎧
ドロップ:怠惰の書、ランダムボックス、管理者の鍵(666)
魔王石:ベリアル
*****
ほぉ?
結構強いじゃないか。強化込みでもレベル1000か。初見アズなら強化無しで666だったのに、最初から800となると……なにかあの騎士以外にもカラクリがありそうだな。
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https://x.com/hiyuu_niyna/status/1962191469680455798
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