ガチャ072回目:総決算のお時間です!
気合を入れて盛り上がっていたが、彼女達はすぐに、受付嬢モードへと切り替えた。
「ではショウタさん。アイテムの査定を行いますね」
「あ、うん」
アキとマキが魔石の数をチェックし始める。『極小魔石』はこの『初心者ダンジョン』で一番ポピュラーなアイテムだからか、数を数えるための専用装置があり、それにジャラジャラと入れていた。
「まず魔石からですね。『極小魔石』単価200円で、15万1000円。『中魔石』単価1万円で7万円。『大魔石』単価5万円で20万円。合わせて42万1000円です」
「前回の特大と比べると合計価格は落ちたけど、それでも魔石でこれだけ稼げるのはショウタ君だけね」
こんなのいちいち拾ってたら日が暮れるからな……。しかも大変だし。
それを全部やってくれるアイラは本当に働き者だ。
そう思っていると、アキとマキが高速で『鉄のナイフ』を数えながら専用ボックスへと放り込んでいた。魔石以外のアイテムは基本手作業での確認だというけど、これは大変そうだ。
まあ、普通はこんなに持って帰ってこないもんね。
この前2人から聞いたんだけど、受付嬢ともなるとこういう手際の良さが求められるらしい。入職したころは冒険者に混じってレベルを上げて、『SP』を使って『器用』を積極的に上げるんだとか。
今では俺の方が『器用』は高いだろうけど、この動きは日頃の研鑽もあるだろうし、簡単には真似出来そうにないな。
「お待たせしました。次に『鉄のナイフ』ですが、単価1500円に対して本数が754本もあるので……。113万1000円ですね。こちらは数が数ですので、『初心者ダンジョン』と提携している工房に、直接送る様手配しておきます。ダンジョン産の鉄は良い資源になるので、大量に送れば色を付けてくれるかもしれません。アイラさん、後で運ぶのを手伝っていただけますか」
「お任せください」
「『鉄のナイフ』の稼ぎで1万いけば良い方って言われてるのに、100倍以上……。凄いわねー」
マキは遠い目をしている。やっぱり『鉄のナイフ』を数えるのは大変だったらしい。
それにしても、ハートダンジョンから帰還してからというもの、『鉄のナイフ』は100%ドロップになったか。最初からそれなりにドロップしてくれていたし、恐らく『運』が10でようやく2%。500で100%と言ったところか。10以下の冒険者がほとんどだろうし、そんなものだろう。
「次に『鋼鉄の大剣』ですね。単価18万円ですから126万円になります。こちらは需要がありますので、本部に発送しましょうか」
「ちなみに、この前ショウタ君が取ってきた大剣は、うちの売店に並んでるよ」
「そうなの? 結構人気あるんだね」
「無難に強くて丈夫だからねー。ちなみに価格は20万円でーす」
「うーん、絶妙な値段」
『鉄の長剣』が5万円だったことを考えると、ワンランク上の幅広の剣。……うん、丁度良いのかも。
「次に『怪力』ですが……どうします?」
「『お願い』に回して良いよ。さすがに今からオークションにねじ込むのも悪いしさ」
「わかりました。では、そのように。こちらの売上金は、アプリに記載されている末端価格と同じ値段になります。その代わり、各協会である程度の融通を利かせてくれるそうです。お願いが溜まれば、無茶も聞いてくれるかもしれません」
「例えば……第一層の脇道を半日近く使えないようにするとか、出来る?」
「はい、可能です。ショウタさんならそう言うと思って、事前に支部長に確認済みですよ」
「おおー!」
それは大きいな。第一層で『ジェネラルゴブリン』を沸かせられるかの確認と、強化体の確認。あとはトロフィーの重複確認が出来るのは大きい。
「良かったですわ。家の力を借りる事でも可能でしたが、お母様に借りを作る事になってしまいますもの」
「あー、アヤネも出来るって言ってたね。アイラの件もあるし、借りは無い方がよさそうだ」
「ただ、流石に明日すぐに、とはいかないので、可能な日はまたお伝えしますね」
「うん、よろしく」
「では最後に……『怪力Ⅱ』ですね。こちらはどうされますか?」
「ああ、それね。そもそもの『怪力』を取得していない人が使ったらどうなるのか知りたいんだよね。アイラはもう持ってるから、アキか、マキか、アヤネの誰かに使ってもらおうかと思ってたんだけど……」
3人が顔を見合わせる。
「ショウタさんの実験に協力したい気持ちはありますが、この中で一番スキルを活用する場面が少ないので、私は辞退しますね」
マキがちょっと残念そうに言う。
「あたしも、ダンジョンにたまに潜ったりはするけど、それでもストレス発散が目的だったから、別にいいかな。アヤネが貰っておきなさい」
「良いのですか? 『統率』だけでなく、他のスキルまで先輩に先んじてしまって……」
「その方がショウタさんのお役に立てるんですから、構いません」
「そゆこと。受け取っておきなさい」
「はいですわ。必ず、お役に立ってみせますわ!」
アヤネはスキルオーブを手にし、取得した。
「妨害を解除しましたわ。旦那様も、先輩方も、確認をお願いしますわ!」
アヤネは胸を張ってそう言った。どうやら、アキとマキにも見て貰いたいらしい。
*****
名前:宝条院 綾音
年齢:18
レベル:54
腕力:70(+12)
器用:137(+23)
頑丈:70(+12)
俊敏:136(+23)
魔力:458(+77)
知力:585(+98)
運:10
装備:宝石のステッキ、ハイパープロテクター内蔵・新式オートクチュール
スキル:鑑定Lv3、鑑定妨害Lv3、怪力Ⅱ、統率、炎魔法Lv3、風魔法Lv2、回復魔法Lv2、魔導の叡智
*****
どうやら、素直に『怪力』をすっ飛ばして『怪力Ⅱ』を獲得できたらしい。
「なるほどな」
「旦那様、お役に立てましたか?」
「ああ、助かったよ」
「嬉しいですわ!」
なら次は、『怪力』の無印を獲得しているアイラの場合だな。『怪力Ⅱ』に上書きされるか、それとも『怪力Ⅱ(1/3)』になるのか……。どうなるか楽しみだな。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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今日も2話です。(2/2)
本日、なろうの方で四半期1位を獲得したため、明日は3話投稿予定です。
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