第8話 スケジュールが破綻すると違約金を支払うことも!?
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・開発期間を確認して、企画規模を推測する。
・スケジュールが長引くと、予算もかさんで自分の首が絞まる。
・スケジュールが破綻すると違約金を支払うことも!?
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企画を練る前に確認すべき項目が二つあると説明しました。
予算の重要性については前回語ったので、
今回は『スケジュール』について詳しくみていきましょう。
■ゲーム制作における『スケジュール』について
ゲーム制作における『スケジュール』とは、
企画をスタートさせてから完成するまでの、
『開発期間』を見積もることです。
いわゆる締め切りですね。
発売&発表予定日を決めないと、いつまで経っても完成しません。
商業なら、クライアント(様)から発売日が指定されます。
同人ならコミケットといったイベントでの発表が目安となります。
半年後、1年半後……といった締め切り(嫌な言葉だ)から逆算して、
企画=プロジェクトの開発期間を決めます。
コンシューマーRPGなどで「開発に10年かけた!」と宣伝するのは、
「それだけ時間を掛けたから、質は折り紙付き」と謳っているわけです。
逆に、開発期間が半年しかない企画の場合は、
規模やクオリティーを抑えないと、完成までこぎ着けません。
■締め切りって大事だよ
業界で働いていてよく耳にするのが
「締め切りを守ってくれない」という悲鳴です。
締め切りが遅れる原因は(心理的なスランプなども当然あるでしょうが)、
全体のスケジュールを把握していないからだと個人的に思っています。
締め切りを設定しないと、人はやる気が出ません。
先生に怒られるのが嫌だから、夏休みの宿題をやるのです。
誰も咎めず提出する必要のない宿題は、誰も手をつけないでしょう。
締め切りもないのに宿題を終わらせるような人は、希有な存在です。
生まれてきてくれてありがとう。
立派な才能なので、自信をもって創作活動に励んでください。
■『予算』と『スケジュール』の関係
スケジュールと予算は、切っても切れない関係にあります。
例えば
「8月発売予定だけど、
計算したら5月にゲームを出さないと資金がショートする!」
とった場合は、スケジュールを設定し直すか、
予算繰りを再検討する必要があります。
経験上、予算案は覆らない場合がほとんどですので、
スケジュールを調整することになるでしょう。
(何故ならマンパワーは気合いと根性で調整可能だからです。怖い怖い)
スケジュールも予算も融通が利かない場合は、
規模やクオリティーを下げる、といった苦渋の決断を迫られることも。
■商業作品と『スケジュール』について
予算、スケジュール、企画の規模……どの部分を調整するかは、
プロデューサーやディレクターの判断に委ねられます。
企画屋は
「予算は○○万、締め切りは×月。これくらいの規模でゲームを作れ」
と命令を受ける立場です。素直に従いましょう。
なお、一度決めたスケジュールが破綻した場合、
開発側がクライアント(様)に違約金を支払うことになります。
「こっちも仕事なんでな」と、尻の毛までむしり取られるでしょう。
ですので、開発側も必死に発売日に間に合わせようとするのです。
まあ、人間が作業しているので無理な時は無理なんですけどね(えー)
■同人作品と『スケジュール』について
同人の場合、すべての責任を負うのは自分自身です。
予算を決めるプロデューサーや、スケジュールを考えるディレクターも、
あなた(もしくは別の代表者)が担うことになるでしょう。
自分で自分の首を絞めないよう、企画を始める前に
予算とスケジュールに破綻がないが確認しましょう。
完成する前に資金が尽きたら、あなた自身が食べていけなくなるので、
その作品は永遠に日の目を見ません。
残念だがオマエの冒険はここまでだ。
「趣味で作っているから採算度外視!」と言うなら、それでも構いません。
何のためにゲームを作るのかよく考えて、企画を走らせてください。
■まとめ
予算とスケジュールは、企画の規模や中身に大きく関わります。
予算、スケジュール、規模を『仕様』として固めることで、
「規模的にヒロインは2人までだから、三角関係の恋愛モノにしよう」
という感じで、企画内容をより具体的に詰めていけるわけです。
次回は、企画の『規模』について、
「○千万の予算だと、シナリオ容量は××MB、開発期間はこれくらい……」
と、実例を挙げて説明していきたいと思います。
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