第24話第二ラウンド
「そもそも、どうして勝負を挑んできたあなたが勝負内容を決めているの? 普通、挑まれた側が決めるものじゃない? だから今の勝負は無効試合でいいわよね」
終わってから物凄い言いがかりを始めた篠原さん。でも確かに、挑んだ僕が一方的に得意なゲームを選んでしまったのもまた事実。篠原さんの理屈には筋が通っている。
「分かったよ。確かに君の言い分はもっともだ。だから今のは無効試合。次のゲームで勝った方が、本当の勝者だ」
納得して、彼女にゲームを選ばせる。
「じゃあ勝負内容は私が決めるわ。えーと、そういえば、あなたの名前をまだ伺っていなかったわね」
「あーそうだったね。僕の名前は
にひひっと笑い、今更ながら自分の名前を名乗る。僕ってば結構大胆にここへお邪魔しちゃったから、名乗るのを忘れてたよ。いや〜うっかりうっかり。
心の中で内省しつつも、僕は篠原さんにゲームの内容について質問する。
「それで、どんなゲームを提案してくれるの?」
篠原さんが提案するゲームなのだから、さぞかし面白いものなんだろうな〜と期待する。
「そうね。それじゃあ瑠奈さん。ちょっと後ろを向いてもらえるかしら?」
「うしろ? まあいいけど」
僕は言われた通り、篠原さんに背中全体が見えるよう体ごと後ろを向ける。一体何をするんだろうとドキドキしていると、篠原さんは「もういいわよ」と声をかけてくれるので、僕はクルッと前を向く。
前を向いて目に映ったのは、机の上に置いてある一枚の紙切れだった。何だろう? とそれを凝視していると、篠原さんは淡々と説明を始める。
「ここにある紙の裏側には、私が今まで”付き合った人数”が書かれているわ。あなたはその数を当てるの」
どう? と聞かれ、僕は素直にうんと頷く事が出来なかった。だってどう考えても僕の方が不利じゃないか。何分の1の確率を当てればいいんだよ……。
「このゲーム。僕に不利すぎない?」
僕が不満を垂れると、篠原さんは公平になるようルールを言い始める。
「もちろんゲームがきちんと公平になるようにするわよ。まず、ここに書かれている数字は10以下。それから、誤差はプラマイ2まで。例えば、答えが3だとしたら、あなたは1から5の中のどれかを答えれば勝ち。どう? かなり公平。なんならあなたの方が有利なのじゃないかしら?」
確かにそのルールなら僕の方が有利だ。でもそれだけ?
「確かに公平だね。でも、ただ単に数字を当てるだけって、何のゲーム性もなくない?」
首を傾げ聞いてみると、篠原さんは追加のルールを説明する。
「えぇ、だからあなたは私に質問できるの。質問は三回まで。質問に対する回答にはYESorNOでしか答えられない。YESかNOで答えられない、もしくは答えに直結するような質問は『答えられない』と答えるわ」
なるほど。よく考えてる。もちろん断るなんて選択肢はなく、僕は意気揚々と彼女の提案したゲームを受け入れる。
「いいよ。じゃあこの勝負で負けた方が、相手の要求を飲むって事で」
遂に、僕と篠原さんの部室と威厳をかけた最後の戦いが幕を切った。
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