第14話 女性
一人の女性に出会った。
誰か分からないけれど、あっちはなぜかこちらを知っている風に話してくる。
もう冬だから、その人は手袋をして、暖かそうなコートに身を包み、スマホをいじりながらこちらに話しかけてくる。
「……でさ、これ」
と、スマホを見せてくる。その人がスクロールして、画面が見える。
「これの会場、すぐそこだから。行こう」
「えっ、あの」
戸惑うと、女性は距離を急に近くした。
「――しゃべらないで。あなた狙われてる、恐ろしい何かに」
「……⁉」
えっと、どういうことだろう。
本当に険しい表情で、彼女は言って、「来て」と手招きした。
怪し過ぎる……。
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