3. 矛盾と私。

柵に手を乗せ、身を少し乗り出し下を眺める。

漆黒が私を包み込むようにして見ていた。

今にも吸い込まれそうで、私は柵から身を乗り出していた。

「あと1歩。」あと1歩が中々踏み出すことが出来ない。あと1歩進めば私が心の奥で望んでいた結末になるのに。なのに…なのに、

結局そこで止まっていた。何も出来なかった。動くことが出来なかった。

その時私は気づいたのだ


『死ぬのが怖い。』


適当にしか生きれなくて、他の人と比べて取り柄も好きなこともなくて、居場所もなくて、そんな、そんな人生なのに。

また感情がぐちゃぐちゃになった。

気づけば私は笑いながら泣いていた。心の底から可笑しくて笑っているのに、辛くて、悲しくて、どうしようもない涙が溢れ出た。

私が今日を終えるためにはそれだけで十分だった。


ゆっくりと体を起こす。

いつの間にか眠っていたようだ。

全身が痛いし、倦怠感も凄い。絶対に熱がある。

でもここからどうしようかと考える。

けれど頭が働かない。頭が痛い。

このままだと私が結末を迎えてしまう。当然嫌だったが、それを何処か喜んでいる自分も居て怖くなった。

辺りを見渡すと昨日は暗くてよく分からなかったが、どうやらかなり駅前から遠く離れていることが分かった。けど此処が何処か詳しいことは分からない。

そんな絶望感に浸りながら、半ば放心状態になっていると、ポケットが震えた。


「ん?」

一瞬理解が追いつかなかったが、何時も制服のポケットにスマホを入れていることを思い出した。

すぐに取り出し、画面を見ると見たこともないような程の量の通知が画面を覆い尽くしていた。全て両親からのメッセージ。

いつもは何とも思わないはずなのに、自然と涙が溢れてきた。なぜか必死に堪えようとしたが、堪えることが出来ず、また頬を濡らした。

多分私の目、めちゃくちゃ腫れているんだろうな。と考えつつ、あまり両親ときちんと考えてやり取りをした事がないことに気づき、なんて送ればいいのか。などくだらないことを考えていると

「新着メッセージがあります。」

急いで開くと

「今何処に居るの?見ているのは__なの?」

と来た。後々分かった事だがどうやら既読というものがあるらしく、私がメッセージを見たことが相手から分かったらしい。

私は考えすぎず、思ったとおりにメッセージを打ち込んだ。

「大丈夫だよ。心配掛けてごめんね」と

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る