第20話 ネット開通
「これが足守さん専用の情報端末です」
そう言って岩沼さんが取り出したのは、6インチと10インチの端末だった。
続いて、腕時計型の端末も渡してくれた。
説明では、腕時計型の端末を通信端末と言い、電波でネットと繋がっているものの総称だそうだ。
一緒に渡された2台の端末は、この通信端末としか通信できないようになっている。
不便そうだが、理由はセキュリティーのためらしい。
通信端末はバイタルチェックなども行っている。
急病や事故に遭った時など、緊急信号を発して助けを呼ぶ機能もあるから、毎日動作チェックするようにと注意された。
そもそも通信端末が壊れたらネットとの通信が出来なくなるから、普通に困ると思う。
今日は、この情報端末の簡単な使い方を教わり開放された。
明日から岩沼さんが講師で、今後の生活で必要になるであろう、一般教養的なことを教えてくれるそうだ。
普段はあまり会う機会が少ない岩沼さんだが……。
毎日会うのは、ちょっと困る。
好みの容姿をしているから、溜まったモノが暴れたらマジ困るんだよなー。
…………。
……。
病室に戻った俺は、早速ネットにアクセスして一番気になっていた”
魔力研究所の公式サイトには、これまで公開された動画がすべて有り、古いものから数本見た。
26年前にこれだけの調査と研究をしていたことに驚愕しかない。
今では常識となっていることでも、26年前にそれを証明するためには、どれだけの苦労があっただろう……。
アルビノ体質ということで、肌と髪は白く目が赤い容姿は、どこか儚げであり神秘的でもある。
その美貌と相まって、いっそ神々しいとさえ言える。
惜しむらくは、もう他界してしまっていることだった。
どうやら、生まれながらに短命の宿命を背負っていたそうだ。
それを知っていた彼女は、さまざまな功績を残すことに
まだ存命であったなら、もっと研究が進んでいただろうなと思うし、人類にとっては大きな損失だろう……。
当時、俺がハマっていたゲーム”42life”の小説版やアニメ版があるようだ。
お金を稼げるようになったら、購入したいリストの一番に書いておこう。
”42life”の結末を知らないから、ネタバレには要注意だ。
大金陽菜乃が亡くなった後も、魔力研究所は活動を続けている。
二代目の所長には、弟で副所長だった大金
実のところ、所長という呼び名は正確でない。
魔力研究所の正式名称は、”株式会社 魔力研究所”だ。
社長と呼ぶのが正確だが、創設者の大金陽菜乃が、
『社長はダサいから所長と呼んでほしい』
と発言したことから、慣例として残っているようだ。
大金陽菜乃の子どもや、現所長の子どもたちが研究を引き継いでいる。
多方面での技術開発をしているようで、天才の血筋は引き継がれたようだ。
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