第18話 退院後の生活



 昼食を食べ終わったタイミングで岩沼さんがやってきて、


「お話があります。一緒に来てください」


 と言われたから、後を追うことにした。


 到着した場所は会議室だった。


「今日は、退院後の話しをしましょう」


 こんな言葉から始まったと思うんだが、色々なことを聞いたから混乱している。


 異世界帰りの人が存在することは、一般には公開されていない情報らしい。


 情報漏洩は何があっても防ぐのが国連の方針のようだ。


 退院するには、”守秘義務契約書”にサインする必要がある。


 関係者以外に、俺の身の上などを知られてはならない。


 そんな内容がやけに細かく書かれている。


 守秘義務違反が発覚した場合は、国連施設でかくまわれ、一切の外出が禁止されるとのこと……。


 口を滑らせないように気をつけないと、ヤバイことになりそうだ。


 岩沼さんの口調から、どうやら国連は本気なのだと伝わってくる。



 戸籍上、俺は死亡したことになっている。


 だから、新しい戸籍が用意され、”妹の親戚筋の息子(妹のおい)”、それが俺の立場になるらしい。


 だから改名の必要は無く、今後も足守あしもり 蒼大そうたを名乗ることができる。


 ちゃんと身分証も発行されるらしいから、それは楽でいい。


 とは言え、26年前に失踪した足守蒼大とは別人になるのだから、昔の知り合いに会っても、知らないフリをするようにと注意された。


 妹の家族には説明済みで、家族全員が”守秘義務契約書”にサインをしたそうだ。



 もうひとつの身分として、探索者養成学校を卒業した証明書と、ランク1のシーカーライセンスも発行してくれるそうだ。


 魔力渦は定期的に国連が調査をして、その先の異世界の脅威度に応じたランクを付けている。


 ランク1が最低で、数が増えるほど脅威度が高くなる。


 シーカーライセンスにもランクがあり、そのランクより高い魔力渦に入ることはできない。


 同ランクの魔力渦に入って、持ち帰った魔石の質や数などで評価され、合格するとランクアップする仕組みになっている。


 無謀な挑戦ができないよう、国連によりきちんと管理されている。


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