第04話 マジかーー
『異世界で魔王を倒して戻ってきたら26年も経っていた件について』
そんなタイトルの冒険譚を書けそうだ。
家族や友達はかなり年上ってことか……。
とは言え、
この世界に生還できるとは思ってなかったから、戻れたことが嬉しい。
「落ち着いているようで良かったです」
「異世界でイロイロ経験したからな。生きてりゃ何とかなるだろう」
「今から上のモニターに別のドクターが映りますので、話しを聞いてください。私は席を外します」
医者が部屋から出て行ったタイミングで、モニターに女性が写った。
「はじめまして。
私は
「よろしく頼む」
こんな挨拶の後、30分くらいの映像を見せられた。
その動画の内容が、もし本当なら……。
マジかーー!
この世界ヤバイ!!
俺が行っていた異世界では、
『魔王を倒さないと世界が滅ぶ』
なんて言われていたが、この世界の方がもっとヤバイだろ!
たった26年の間に、俺の生まれ育ったこの世界は、終末へのカウントダウンが始まっていた。
その動画は、小等部の子ども用に作られたもので、2100年以降の歴史をアニメで説明するものだった。
最初は創作だろ? と疑った。
しかし、俺の知る異世界の知識に通じていたことも含め、説得力があるものだった。
俺が異世界に召喚された翌年、2100年。
何の前触れもなく、突如出現した”魔力渦”による大災害が全世界で発生した。
ソレは黒い球体だった。
どの方向から見ても、中心に向かって渦巻いているような模様が見えることから、魔力渦と呼ばれている。
魔力渦が最初に出現したのは日本で、俺の実家の近くだった。
またたく間に、世界各地に魔力渦が26も出現した。
魔力渦は出現時に空間を切り裂くエネルギーを発し、水平の衝撃波が生じる。
その結果、魔力渦を中心に半径1~3kmくらいが消し飛んで更地になってしまう。
建っていた建物はもちろん、そこに居たはずの人も何もかもが一瞬で消滅してしまった。
さらに被害が大きくなる。
魔力渦の出現から数日後、魔力渦から”魔獣”が出現した。
それは異形のモンスター。
あり得ない運動性能と怪力、
物理現象を無視した”魔法”、
魔獣は予測不能な動きをしながら進行して来た。
各国は軍を派遣して抑え込みに成功したものの、多くの犠牲者が出た。
とくに日本では、市街地でロケット砲や戦車砲の使用を政府が禁止したため、他国よりも多い犠牲が出てしまったようだ。
何が起こっているのか?
どう対処すればいいのか?
全世界がパニックに陥った。
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