(二)

 巨勢こせが運転する車は、埼玉県三芳町にやってきていた。その場所は真っ平らに開けた場所だった。もともと畑だったところなのだろう、吹きさらしになっており、雑草が覆い茂って一面緑色になっていた。遠くには関越自動車道が見えた。

 巨勢が車を降りると、後部座席に座っていた男女がそれぞれ降りた。

 巨勢は「ここです」と二人に荒れ地を紹介した。

 そうして三人は敷地内に入り、敷地内を一周した。そして車を停めた所まで戻ってきた。

「いい場所ですね」

 一緒に降りてきた女性が言った。

「あや……、三原さんも気に入っていただけましたか」

「はい」

「いやはや、極皇商事さんに頼んで良かったですよ」

 初老の男性がそう言いながら巨勢に手を差し出してきた。

 巨勢はその手を掴んでしっかり握って上下に振った。そして心の中で「良し!」と大声を上げた。


(続く)

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