フラれた恨みはどこへいく 6ページ目

「そ、それじゃ、どうすることも出来ないじゃないのっ」


「はい、なので、僕は舞星先輩にお願いして、鷺ノ宮先輩が校内恋愛をしている、という証拠を出してもらったんですよ。その見返りとして校則違反を免除するようにしたんです」


「それが司法取引ということなのね。さすが留年してることだけのことはあるね」


「ちっがーーーーーーう。留年高校生というレッテルは取り消してくださいよぉぉぉぉぉぉ」


「えっ、それは無理だよ。事実をねじ曲げるなんて、生徒会長として出来るわけないでしょ」


「だからねじ曲げてないんですってぇぇぇぇぇぇ」


「リアコン王子は三十路っと、ちゃんと議事録に残しておきましたよー」


「神崎さんは知ってるはずなのにっ!」


「私って記憶力があんまりないので、覚えてないんですよー」


 ようやく戻ったいつものリベンジャーズルーム。


 史上最悪のゲス男との決戦を前に、和やかな空気が包み込んでいた。久しぶりに感じる癒しの雰囲気が、私に安心感を与える。笑い声が響き渡る中、最後の作戦会議が今開幕した。


「では、かなーり話が逸れたけど、これよりゲス男掃討作戦会議を始めるよっ。って、どうすればいいのぉぉぉぉぉぉ」


「会長、ボクから提案があるよ」


「先に言っておくけど、私と愛の逃避行というのは却下ね」


「くっ、先読みされるなんて……。はっ、先嫁、つまりプロポーズの言葉がその裏に隠されているんだね。さすがはボクの会長だよ」


「そんな意味は含まれてませーーーーーーんっ。もう、他にまともな意見がある人はいないんですかっ?」


「それならサキの出番なのだー。うんとねー、その人のスマホから証拠を抜き取ればいいと思うのだー。えへへ、名案だと思ううでしょー」


 なるほど……。


 確かに、拓馬がカノジョとやり取りしてる可能性は高いよね。


 普通ならイチャラブを消したりなんかしませんし。


 それに、プレイボーイを名乗ってるならなおさらです。


 よし、ここは早紀先輩の案に乗るしかないね。


「早紀先輩にしては、ナイスアイディアですよ。ではさっそく、拓馬のスマホを奪いに行きますかっ」


「あのー、朱音先輩。他人のスマホを勝手に見るのは、非常にまずいと思うんですけどー? というより、犯罪ですよー。まさか、本気じゃないですよねー?」


「へっ、え、えっと……」


 そんな、法律まであのゲス男の味方になるのね。

 くっ、こんなにも世の中が残酷だったなんて、知らなかったよ。


 このままじゃ、女の敵が野放しじゃないのっ。


 理不尽、理不尽すぎるよ。こんな理不尽な世の中を私は絶対に認めないんだからねっ。

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