復讐は蜂蜜のように甘かった 10ページ目

 私……管君に酷いこと言っちゃったかな。


 謝らないとダメだよね、でないと管君に悪いもの。


 きっと私のために動いて──って、なんで管君はそこまでしてくれたんだろ? ま、まさか……いやいやいや、そんなことありえないよ。管君が私のことを、す、好き、だなんて。


 ま、待って、なんで照れるのよ私! 別に期待なんてしてないし、そもそも管君は私のタイプじゃ──ないはずよね。そうよ、だからあんまり気にしちゃダメなのよっ。


「そうだったのね、悪かったわよ、その……ごめんなさい……」


「わかってくれてよかったです。それに、これは僕が勝手にやったことですから、誤解されても仕方ありませんよ」


 今日はやけに素直じゃないの。


 あれ? 奈乃ちゃんがニヤニヤしてるってことは──やっぱり管君が何をしてたのか、全部知ってたのね。くっ、知ってた上であたかも想定外のようなことを言うなんて……。悪女に隙なんてまったくなかったよ。


 きっと私の反応を見て楽しんでるに違いないね。


「それでは朱音先輩、引導を渡しに行きましょうか」


「ふぇっ!? 引導ってどこに……」


「もちろん、理事長室に決まってますよー」


 想像の世界にいた私は一瞬ドキッとするも、投票の結果を伝えにリベンジャーズは魔女の住まう部屋──すなわち、理事長室へと向かっていった。



 ──コンコン。


「リベンジャーズです。理事長、結果が出ましたので、報告に来ました」


「開いてるから勝手に入るがよい」


『失礼します』


 理事長室って初めて入ったけど、こんなに怪しいモノばかりなのかな。というかこれって、ツンデレ道場に全部あったモノじゃないのっ。あれは全部、理事長の趣味だったのね。


 それに、加地先生も一緒にいるじゃない。怪しげな置き物たちに気を取られて、気づくのが遅くなったよ。だけど、もうすぐあの顔を見なくなるって思うと、嬉しさで心が弾けそうだね。


「理事長、それとついでに加地先生」


「俺はついでかよ……」


「投票の結果、お二人のクビが決まりましたので、伝えにきました」


 ん? なんだか様子がおかしいよ。


 余裕があるというか、まるで結果すら気にしてないような──。


「その必要はないぞ。お主らには悪いのだが、あの校則は無効にさせてもらうぞ」


「そんなこと許されるわけが──」


「この学園はワシのモノじゃ。だからのぉ、ワシの言うことは絶対なのじゃよ」


「だって、この学園は生徒会もとい、リベンジャーズに権限が与えられてるはずでしょう!」


 そうよ、この学園は生徒の自立が方針のひとつだもん。


 だからこそ、リベンジャーズに権限を与えてるし、メンバーも生徒たちが慎重に選んでいるのにっ。

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