生徒会役員は個性が強い 8ページ目

「じーっ、朱音先輩、顔が赤いけど、どうかしましたかー?」


「ひゃっ!? な、奈乃ちゃん、なんでもないよ。うん、本当になんでもないんだから。春だから少し暖かいかなって、思っただけ、だよ」


 もぅ、いきなり話しかけてくるなんて、ビックリしたじゃないの。私には復讐という大切な目的があるんだからっ。


 まったく、変に意識しちゃうのは、きっと春の陽気のせいね。


 絶対そうに決まってるんだから……。


「会長、まさか……」


 えっ、そんな……葵ちゃんに心を読まれたとでもいうの? ううん、そんなわけない、あるはずないもの。それとも、顔に出ちゃったのかな。


 顔に出るって何がよ、だって私は──。


「ボクと結婚してくれるんだね。大丈夫、妄想で顔を赤く染めなくても、もうすぐ現実となるから安心してよ」


「そんなわけ、ないからぁぁぁぁぁぁ。はぁ、はぁ、私は男子が好きなノーマルJKですっ。だいたい、私が考えてたのは──なんだからっ」


「よく聞こえなかったけど、ボクにツンデレってことかな?」


「どこにデレがあるのよっ、ど、こ、にっ!」


 ん? あれ、私って今何か言ったかな。


 ……はわわわ、口に出しちゃってるじゃないの。だ、大丈夫よね、一番近かった葵ちゃんが聞こえてないって言ってたし。


 これは、春の陽気でおかしくなってるせいよ。


 だからもう、深く考えるのはやめよう。


 それが私にとって……ベストな選択なんだから。


「結局、新しい名前はリベンジャーズに決まりかなー?」


「サキも意義なしだよー。ガリベンジャーズの方が可愛いと思うけど、ここはみんなに合わせるのだー」


「ボクも異論はないよ。最初は反対だったけど、理由を聞いて会長に惚れ直したから、ね」


「では、満場一致ということで──」


「満場一致じゃなーーーーい。僕はまだ反対だからぁぁぁぁぁぁ」


 そういえば管君は反対でしたっけ。


 ここは、私のツンデレで賛成させるしかないかな。


 復讐、そうよ、このツンデレは復讐のため、なんだから……。


「べ、別に管君の意見はどうでもいいのよ。だって、ひとりが反対したところで、今さら結果が変わるわけないもの。でも、でもね、管君が心から賛成してくれたら、私は嬉しい、かな。か、勘違いしないでよねっ、これは、わだかまりを作りたくないだけ、なんだから」


 微かに潤んだ瞳に上目遣いというコンボで管君を見つめる。


 顔をわずかに赤く染め、静かに待つのは管君からの返事。


 これは演技でそうしているだけ。それなのに──私の心音は、意志とは関係なく大きな音を奏でていた。

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