復讐の下準備と悪女な後輩 14ページ目

 あれ、魔性で巨乳……どこかで聞いたことがあるような。


 あーっ! そうよ、拓真が好きなタイプがそうだったよね。まさか、拓真の今のカノジョって──。


「あらー? どこかで見た顔だと思ったら、負け組貧乳のツンデレラさんではありませんか?」


「だ、誰が負け組貧乳よっ! べ、別に負けてないんだからねっ」


 まったく、この人は初対面でなんですの。


 ちょっと胸が大きいからって、態度まで大きくなるなんて、失礼にもほどがあるよ。


 確かに顔は美形だし、長い黒髪がザ・魔性って感じですけど。


 でも、それだけじゃないの。


 きっと、それしか取り柄がないんじゃないのよ。


「でも安心しましたわ。拓真に捨てられて、失恋の海に沈んでるのかと思ってましたから」


「す、捨てられてもないし、泣いてなんかないんだからねっ!」


「ふふふ、それにしても、生徒会長に立候補するんですのね。わたくしも立候補するので、辞退した方が身のためだと思いますわ。だって、その貧乳ではこのわたくしの巨乳には勝てませんもの」


 くっ、ここぞとばかりに自慢してくるなんて。


 確かにこの差は大きすぎ──って、ちがーーーーーうっ。誰も胸の大きさで、勝負なんてしてないし、生徒会長が決まるわけないじゃないもん。


「べ、別に胸の大きさなんて……生徒会長を決めるのに関係ないでしょっ!」


「無理しなくていいのよ、誰だって巨乳には憧れるものですから。そう、拓真だって、この巨乳に目がくらんで、わたくしのモノになったのですからっ」


 ぐはっ、私の思ってた通りだったよ。


 やはり世の中は巨乳優遇なのね。


 ツンデレ貧乳に未来は……。いいえ、そんなことないよ、だって、マスターおなつが言ってたし。


 ツンデレこそ最強属性──。


 だから、こんな魔性ごときに負けるわけないもん。絶対に生徒会長に君臨してみせるんだからっ。


「わ、私は……」


「騒がしいと思ったら、何をしてるんですか、朱音先輩。世の中、胸だけしか取り柄のない人もいるんですから、相手にするのは時間の無駄ですよー」


 奈乃さーーーーーん、毒舌にもほどがあるからっ。


 ほら、あの……うん、名前は知らないけど、魔性的巨乳な人のこめかみがピクついてるし。


 しかも、先輩相手にそんな強気だなんて──かっこよすぎて惚れちゃいそうです。


 って、私はノーマルなんですけどねっ。


「あら、あなたはひょっとして一年生かしら。まったく、わたくの方が年齢は上なのよ。いいこと、先輩に歯向かうのは許しませんわよ?」


「そうですかー、『年齢』を前に出さないと話せないなんて、同情しちゃいます。それでは、年増の……魔性さんとお呼びすればいいですかー」


「わ、わたくしは断じて年増ではありませんわ。まだ十六歳で現役のJKなんですのよ。そ、れ、と、わたくしは舞星きららですっ」


「でも、私より一年早くJKを卒業しちゃいますねー。そしたらあとに残るのは──」


「な、なんで哀れみの視線を向けるんですの。も、もういいわよ、どうせ生徒会長には、このわたくしがなるのですからっ」


 さすが毒舌系腹黒女子です。


 魔性すらこの属性には勝てなかったわけですね。


 でも、先輩にハッキリモノを言えるだなんて、奈乃さんはひょっとして陽キャラなのかな。

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