14-5
※作者注:アルファポリス版では説明用の画像を添付していますが、カクヨムは挿絵機能が無いので省略しております。作中の説明が分かりにくかったら申しわけありません。
「じゃあここから新しく綺麗な道を作ろう」
2枚の紙を分けると紙に貼られていた棒人形をホワイトボードに立たせ、点をつけた後そこにコンパスを置いてぐるりと丸を書いた。
「理想はこの丸にくり抜きたいんだが曲線に切り抜こうと思うと私があと100人はいないと完成しないんで、点と直線で穴を作ろう。直線でこの丸に近い形を作るには?」
ニヤリと悪い顔をして俺たちのほうを向いてくる。
直線で丸に近い形を作るという問いに対して回りがざわつく。
(丸に近い……つまり丸でなくてもいいってことだよな?)
なんとなく思考を巡らせてみるがパッと思いつくものが無いのでなんとなく周りを見渡してみると、突然周囲のざわつきを切り裂くように誰かが立ち上がった。
「正多角形!」
そう叫んだのは鉄道総研の井上さんだ。
「その心は?」
差し出された黒のホワイトボードマーカーを受け取ると、円の中心に置かれた点に定規を当てて直線を引き円を分割してから円と直線の交わる部分を線でつなぐ。これで円に近い多角形が出来上がる。
「これで直線だけで出来たと言えるのでは?」
「うん。その通り。多角形は丸じゃないが丸に限りなく近い形は作れる……ずるい答えではあるけどこれが現状の最適解なんだよね」
どうしても技術者は丸に近いと聞いて新円の近似とかそっちの方に思考が行ってしまうようで、みんなが『何でやねん!』とでも言いたげに見えた。
俺としてもひっかけ問題っぽさを感じるが……まあ文句を言ってもしょうがない。出来ないものは出来ないんだろうしな。
「で、最後にこの正多角形の2つの穴をつなごう」
取り出したのは表面に棒人形の立った正多角形の穴の開いた紙である。
「これはこの三角の部分を互い違いに組み合わせるだけで多面体の筒が出来る。
この方法のメリットとしては常時安定した空間が作れることと、筒にした時に出来た微妙な空間のズレが空間の動きや方向によって発生するズレを相殺してくれることだな」
そう言いながらワクワクさんよろしく三角形の部分をセロテープでくっつける。
ただし本人の作り方が雑なのでだいぶがたついているのが気になるが無視しよう、突っ込むのも面倒だし。
「ちょっとがたついてるけどまあいいや。これが日本と金羊国をつなぐトンネルの土台になり、ここに線路や道を作るんだよ。最後に質問ある人ー?」
なるほどと思いながら納得した辺りでそろそろ失礼させてもらおう。
近くにいた関係者にそろそろ失礼しますと告げてからこっそりと会議室を抜け出す。
今日のこれはいい勉強になったかもしれないなと内心満足しながら外に出てはたと気づく。
「……あの模型って1人で作ったのか?」
説明のために作ってあった模型類を思い出してそんな疑問が湧き上がってきた。
その答えを聞いてみたい気はするが聞いても仕方ない(し知っても意味が無い)疑問はいったん心の奥にしまい込む。
大使館に戻ればまだまだやるべきことが残っているのだ、どうでもいい疑問は忘れてしまった方が早いのである。
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