13-2

とある休日、夕方まで帰らない旨を伝えて東京に出たのは調べ物のためであった。

ネットカフェに入ると以前貰った遺伝子調査キットの会社のホームページを開くと、【診断結果の確認】という項目があることに気づく。

(本当にオンラインで確認できるんだな)

妙な感心をしながら以前貰った診断結果に添付されていたIDとパスワードを入力すると、自分の名前や血液型とともに検査結果が出てくる。

この検査キットは遺伝情報から親族を探るのがメインらしく目的の親族についての項目をクリックする。

そこには確かに真柴なな恵と言う名前が記載されている。

念のため先方が同封してきた家系図と比較してみても矛盾はなさそうだ。

飽きるまで見比べるとページを消して、父のいた施設の電話番号を調べることにする。

父親の事はあくまで母や叔母夫婦から聞いた程度の事しか分かっていないが、幼少期に両親(俺の祖父母にあたる)と死別して太田の施設で育ったことは聞いていた。

調べてみると太田近辺に児童養護施設は見当たらず、閉鎖なり移転したのだろうと結論付けた。

もし残っていたとしても父の幼少期となれば70年ほど前の話であり、資料が残っていない可能性もあるのでもうどうしようもない。

(……叔母に聞いてみるか)

叔母のもとに電話を掛けると思いのほかすぐにつながった。

『はい、沢村です』

「叔母さん、春彦です」

『あら春彦くん急にどうしたの?』

叔母にこれまでの経緯を伝えると叔母は『神戸の真柴さんならうちにも来たわよ』と告げられた。

「えっ」

『確か半月前ぐらいだったしらね、うちを訪ねて来て将広さん……あなたのお父さんの事を聞かれたけど、私よりうちのお父さんのほうが詳しいからねえ』

「うちの父と大学が一緒だったんでしたっけ」

以前小耳にはさんだ話だが、父と沢村の叔父は同じ大学の友人で当時父と交際していた母はその縁で妹(沢村の叔母)を紹介したそうだ。

『神戸の真柴さんのこと、気になるの?』

「ええ。父親の事なんてこんな事でもない限り一生知るはずのないことですし」

『……早くに逝っちゃったものねえ、話す機会もあんまりないし』

「ですね。母から人柄は飽きるほど聞いてますけど身の上については全然わからないですし」

『そういう事なら今度の長期休みは神戸に行く感じ?』

「前半は神戸で、後半はそっち帰ろうかと」

『じゃあ後半はうちに居なさいな、ホテル代もったいないし家いま借りてる人いるでしょ?』

金羊国赴任に際して貸し家にしたあの家に夏から住んでる人がいることは聞いている。

「4人とも文句言いません?」

『そのうち2人はもう家出てるし、イトも叶も文句言う資格ないわよ。二人とも春彦くんがいないと受験落ちてたんだから……』

「まあそれならいいんですけど。とりあえず予定決まったらまた連絡します」

叔母との電話を切ると深くため息を吸う。

わざわざ神戸から会いに来ているという事はこの話、信じてみてもよさそうだ。

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