11-2
暑かろうが寒かろうがトラブルが起きようが仕事は日々続いていく。
北の国から届いた手紙に目を通すと、異世界産原油の販売契約締結についての最終調整が終わったという知らせであった。
異世界産原油の購入と日本までの運搬は紅忠が一括し、大手石油卸売企業の出雲崎石油が精製と国内での販売を、アメリカのワールドスタンダードオイル(WSO社)が日本国外での販売、イギリスのペクテン社が異世界製石油による石油化学製品の製造・販売を担う。
「……思ったより大事になってるな?」
北の国産原油輸出については紅忠による一括購入が決まってからはあんまり把握していなかったので俺が悪いな、これは。
手紙によるとしばらくは手作業で運べる範囲内での購入になるらしく量は少ないようだが、少なくとも厄介者がまあまあのお金になるとわかったことはプラスなようだ。
コンコン、と扉を叩く音がするとふらりと現れたのはこの手紙の主役のひとりであった。
「お久しぶりです」
「ああ、紅忠の……」
「今日から紅忠金羊国支社が正式に発足するのでそのご挨拶に伺わせてもらいました」
河内さんお土産を受け取ると後ろには2人の日本人男性がいる。
ひとりは俺よりも年上で頭が薄く中年太りの、どこにでもいそうな気弱なサラリーマンと言う風貌だ。
もう1人は二十歳ぐらいの細身ながら日焼けしたスポーツ青年だった。
「この度紅忠金羊国支社副支社長に任命されました
新品の名刺とともに頭を下げてきた中年男性からありがたく名刺を頂戴すると、俺もしっかり名刺を手渡す。作っといてよかった。
「支社専属通信係の
元気な声でそう言いながら直角に腰を曲げて頭を下げるのがいかにも体育会系と言う印象を受ける。
「で、金羊国支社長の河内舞花です」
さっと名刺を渡されたので俺もしっかり受け取っておくことにした。
この3人は何ともアンバランスな組み合わせに見えるが、まあ俺がどうこう言ってもしょうがない。
「私とささは常に支社のほうにいますし、高槻も時々大使館に荷物運びさせる予定なんでよろしくお願いしますね。必要なら高槻に荷物運ばせてもいいですよ」
「俺の仕事増やさないでくださいよ!」
「ナリくん、ひとついいことを教えてあげよう」
「なんすか?」
「大使館の飯、めちゃくちゃ美味いよ」
「……仕事したら大使館のごはん分けてもらえるんすか?!」
いいですよね?という河内さんの視線と期待に満ちた眼差しが痛い。
まあ1人分ぐらい増えても飯山さんは気にしなさそうだし、納村の仕事が楽になると思えば‥…いいか?
「じゃあ毎週金曜日の昼、荷物運びと昼食を交換で」
「はい!」
大変いい返事でそう答えたのでもう俺はそれ以上考えないことにした。
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