2-5
「そうだ、ここにいる時だけ俺の妻のふりをしてくれないか」
瞬間、木栖が飲んでいたお茶でおもいきりむせた。
漫画のようにお茶を吹き出さなかっただけ優秀だが1分近くゲホゲホむせたあと、深くため息をついた。
「人のやけぼっくいを再燃させて楽しいか」
「別にそういうつもりは無い。ただそういう誤解をいい具合に利用できそうだと思っただけだ」
「利用?」
「俺の警護役としてお前を堂々連れていける、納村は通訳として連れていけても妻役までは引き受けないだろ」
「面倒臭がりそうだしな」
納村明野という人物は好き勝手に動き回る事を好むので間違いなく偽装妻役を嫌がるだろう。
その点木栖は女受けのいい顔をしており面倒なことも必要ならば引き受けてくれる。
「お前が俺に惚れなおそうが何だろうが、それはお前の勝手だ。ただお前と一緒のほうが俺には都合がいい」
「勝手すぎる……っ」
言いたいことはずいぶんあるようだが決めるのは木栖だ。
何より断ったところで今度はアントリの誤解を解く必要があり、場合によっては宰相にも説明する必要がある。
「もちろんそれ相応の利益も大使権限で用意する」
少しばかり悩んだ後木栖は「そういえばお前独身だったな」とつぶやいた。
「妻がいたら連れて来いとでもいう気か」
「そうだよ、そっちこそ俺が妻役でいいのか」
「お前なら十分役割を果たしてくれると思ったからな」
木栖は「分かった」と了承する。
そうなると今度は口裏合わせが必要になる。大使館員全員に後で話しておこう。
お茶を飲み干してお代を銅で払って店を出る。
「いざという時は頼むぞ」
「来ないといいがな」
****
その後も買い物をしているうちに気づけは日も沈み、市場の門前に最後に到着した飯山さんたちはそれはそれは大量の食材を抱え「今夜は頑張りますね~!」と上機嫌であった。
納村・嘉神コンビも大量の書籍を抱えているし、食材を抱えるアントリは力自慢だというが重そうだ。
全員それなりに納得のいく買い物をしたようであるが何をどのくらい買ったのかあとで記録を確認しよう。
「さ、戻るか」
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