首を絞める(777文字)
いつも以上に燃え上がる2人。
初夏を感じる熱風、窓を開けるわけにもいかない事情。
じっとり汗ばみ、息も上がり耐えきれずにエアコンをつけた。
すると湊音が甘ったるい声を出し、李仁を見つめる。
「李仁っ……首締めプレイしたい……」
「なんでこんな時に……っ」
「いいから、もっと……気持ちよくなりたいっ……」
悶える湊音、鼓動が増して息遣いも荒くなる李仁。
李仁は湊音の首に手をかける。
太い首、どくどくと血液が流れる、脈が波打つ。
その感覚が李仁の手のひらに伝わり、自分も同じような感覚に。
優しく、ゆっくり首を絞め、なおかつ体の動きは止めずに……。
湊音はなんとも言えぬ声を出して絶頂を迎えた。
李仁もほぼ同時に。
2人ベッドの上で項垂れる。
「どうしちゃったのよ、ミナくん……」
「……わかんない、わかんなくなっちゃった」
李仁はふと数年前のことを思い出す。
外に出られなかった日々のことを。
湊音は精神的に病み、李仁に依存をしていた時のこと。
もう湊音は限界ですぐ消えて無くなってしまいたい、もうこの世にいなくていいと卑下しつつも李仁の身体を求めてきた。
その時も首を絞めて欲しい、と懇願したが李仁にはできなかった。
本当に湊音が死んでしまうのでは、と。
そう、李仁も限界だった。誰にも言えなかった。自分もダメになったら2人してダメになる。
今は湊音も精神的に安定しているが急に首締めプレイを求めてきたことにヒヤリと思いつつも、もう死ぬことなんて考えていない、李仁は信じて今回はしたのだ。
「……どんな景色が見えた?」
なんて李仁は聞いてみた。
「ん……もうやばかった。でも李仁の顔を見て生きてる、って思った時が一番気持ち良かった」
湊音がそう言って笑うと
「バカ」
と李仁は湊音とは反対の方を見て涙を流した。
湊音は李仁を後ろから抱きしめた。
「あたたかい……ミナくん、生きてる」
「うん、生きてる」
2人は笑った。
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