第1話 馬券の竜巻

「なんで大穴が来るんだよ!」

「こんなの聞いてないぞ!」

「ちきしょう!」


 いたるところで外れ馬券が飛んだ。

 馬券は空を舞い、風に乗り、いつしか大きなうねりとなった。

 そして、馬券は渦を巻き、天まで届く大きな竜巻となった。



 馬券の竜巻は競馬場の観客席を巻き込み、観客を空へ空へと飛ばしていった。


 競馬場外、サッカーくじtotoを買っている一人の女性。

 競馬の合間にも、別のギャンブルにいそしんでいた。


「ふう。ワールドカップ 、我らが日本の試合の予想かー。日本はさすがにスペインには勝てないでしょうね。倍率が低くても堅実に掛けるのが一番。2対0でスペインが勝つかな? 情が入ってしまったらギャンブルは勝てないものね。これて良し!」


 toto購入用紙に印をつけていく。


「これで買おうっと!」


 totoを買おうとしたその時、競馬場に吹き荒れる竜巻が競馬場外まで飛び出してきました。

 その泥沼雫も巻き込まれてしまった。


 舞い上がるtoto購入用紙。

 黒く渦巻く竜巻の中に彩られた紙たちが舞う。


「え、なにこれ! ちょっと、サッカーくじ まだ買えてないんですけどーーー!」

 吹き荒れる風の中、声だけが取り残されていった。



 えーーー!


 なんでーーー、


 そうなるのーーーー!



 ~オッズの魔法使い、始まり始まりー~


 ――空高く飛ばされた泥沼雫のように、星でも飛ばして頂ければ幸いです。


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