第30話 シュガートースト

ユリナは、食パンを食べる時、必ずと言っていいほど、砂糖をかける。


いわゆる『シュガートースト』と言うものらしい。


この砂糖だが、喫茶店などのモーニングに出てくる食パンにはグラニュー糖を。


そして家では、いろいろではあるが、

上白糖。まぁ、普通の白い砂糖だな。


今朝は、その上白糖のシュガートーストをして食べていた。

ただの朝の1場面に過ぎない。


でも、ユリナにとっては、この上白糖のシュガートーストには思い出があるようだ。


ユリナ「森のおばちゃん、どうしてるかなぁ。」


この『森のおばちゃん』と

『どうしてるかなぁ。。』なんだが。


『森のおばちゃん』このおばちゃんは、ユリナが幼稚園の頃に可愛がってもらっていた近所のおばちゃん。


そして『どうしてるかなぁ』とは、もう、他界されている為、『こちらでどうしてるかなぁ。』と言う意味だ。


俺は、幼稚園の頃のユリナと森のおばちゃんとの関係をユリナの記憶から見ていた。


なるほど。。このシュガートーストの一番最初は、森のおばちゃんが作ってくれたものらしい。


食パンの上にはバターが塗られ、そして白い砂糖が。。


その作ってくれたシュガートーストをまだ幼いユリナは感動しながら食べているわけだな。。


こりゃ、思い出だな。。




そして、その森のおばちゃんの周りには他にも子供達が遊びに来ていた。


俺はその他の子供達にも注目する。


あぁ。。なるほど。。

森のおばちゃんに集まる子供達のほとんどが、心に寂しさをもっている子供達だった。。


森のおばちゃんが子供達の寂しさを癒やし、心の拠り所となっている。


俺は、森のおばちゃんと子供達の様子を、当時のユリナの記憶から見ていて思った。


今はこんな、おばちゃんはどれだけいるだろう。。


今も、昔も心に傷を負ったり、寂しさをもったり、又は人を信じられず心の病を抱える子達もいると聞く。


時代がかわり、今の時代からは、森のおばちゃんのような事は、逆に難しいのかもしれない。


でも、森のおばちゃんは当時の子供達の拠り所だったわけで。


形は変われども、森のおばちゃんみたいな大人が、一人でも多くいる世の中なら、いいのにな。


そう、思わずにはいられない、

俺だった。。

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