生贄にされた娘が神様と結婚する話
甘糖むい
会話文だけVer
「本日よりお側に置いて頂きたく嫁いで参りましたサシェと申します。」
「…は?」
「……本日!より、!」
「あのね、君の声が聞こえなかった訳じゃないんだよ!大声だされたら私が耳の遠い老人みたいじゃない!……酷いっ!」
「…? では何を?」
「何をはこちらのセリフだよ」
「嫁ぐって……君はいくつ?」
「先日7歳になりました。」
「そう、……そっちの世界は随分と悪趣味な婚姻を結んでいるんだね、……器にもならないだろうに」
「……? 私はもとより器ではございません!人間でございます」
「っは!そうだね、そうだ!忘れていたよっ…」
「神様?今なにか、誤魔化されましたか?」
「さてね、お前にはまだはやいよ」
「………私は要りませんか?」
「うーん、そうきたか。」
「神様も要らないと言うのでしょう、?」
「…大きくなったらまたおいで」
「今、と言っても?」
「……帰り方は導いてあげるから」
「どうしてみすみす帰ってきた!」
「私との婚姻は嫌だそうです」
「ここまで育てやってまだ言うか!」
「親無しのお前を育てたのは神の為だというのに」
「神が要らぬと言うのです」
「……他に何か言ってなかったか?」
「川が氾濫するかもしれないと憂いておいででした」
「川が氾濫するだと!?」
「嘘つきめ!ここ数年は天候にも恵まれている。」
「もしや逃げ出して帰ってきたのでは?」
「それなら、今度は帰って来ないように丁寧に送ってやろう!」
「神が要らぬと言ったと言うのもどうせ方便だ」
「本当に言われたのです」
「まだいうか、この……穀潰しが!」
「祭壇はこれでよいか?」
「後は牢に鍵をつければ逃げれまい」
「さぁ、サシェ喉が渇いただろう」
「初めて優しくされました」
「腹が減っただろう?」
「腹など減りません」
「本当に私が何もわからないと思っておいでですか?」
「あいつはどうしている?」
「さぁ?」
「なぁに、あの子は祭壇からは出られまい」
「でたらどうする?今度こそ逃げ出されたら!」
「私の娘は行かせません!!」
「神に嫁いで帰って来た者など、あの子以外居ないではありませんか!」
「そこで聞いておいでですか?」
「…私は、村人達を怨みます。母を死に追いやった隣の村も、私を殺すこの世界も!それはそれは怨みます。神よ居るのなら私の願いを叶えてください。」
「……サシェ?」
「ねぇ」
「うわぁ!?」
「見かけない顔だ。どこから来た?」
「サシェという娘に心当たりは?」
「ああ、あいつは神様に捧げられたよ。なんでもサシェは神の為に育てたもんだからな!」
「見た目はいいんだ、あっちでよろしくやっているだろうよ」
「そう、」
「君たちが善人でなくてよかったよ」
「気兼ねなくサシェの願いを叶えてあげられる」
「……あぁ、ひとつ言い忘れていた。美しい娘をありがとう」
「サシェ、君はいつも綺麗だね」
「そろそろ耳にタコが生えそうです」
「それは大変だ!……もしかして私もはえるかな?」
「ねね、いつになったら結婚してくれる?」
「しません」
「式はいくつお直しする?」
「だから、しませんと言っております」
「どうせなら和装の式もあげちゃおうか!」
「会話をする気はありますか?」
「そんなに嫌?」
「貴方は一度私を要らないと言ったではありませんか」
「拗ねてるの?でも本当に要らないとは言ってない!」
「覚えがありません、ほとんど会話も覚えてませんから」
「もぉ!疑うんなら映像もある!脳内再生だから、頭を増やせば一緒に見れるよね!?」
「……そこまでされるなら薮坂ではありませんね」
「?!??!」
「今からではありませんよ」
「なんでさっ!!」
「私はまだ
「会話全部覚えてるじゃん」
おわり。
______________
設定(細々したのは省略)
インド神話で実際に描かれている夫婦の設定を使用
サシェ→サラスヴァティ…ブラフマーの身体から作られた娘。美しい出来にブラフマーは嫁にする為に何度も求婚したとされる。
神様→ブラフマー…作った娘に一目惚れ。ずっと見すぎて顔?足?がいっぱいできた。
7つを超えた人の子は神域で生きられない。
人間が供物を捧げて祈りの言葉を唱えれば、神々が力を貸してくれるとされている事から自分を供物にして、誰よりも先に『世界の消滅』を願った。
ブラフマーはインド神話の中で「苦行を達成したものにはブラフマンに従って力を与える」ような行動をします。
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