To my dearest
ヨシコ
一通目 12月8日
親愛なる姫君
無事帝都に到着しました。
帝都は、俺の知る帝都とは随分様変わりしています。
といっても、俺が最後にここにいたのは、先の皇帝陛下、あなたの父君がご健在の頃です。もう十年もの月日が経ってしまいましたね。
特に今は皇太子殿下の戴冠式を間近に控えているせいでしょうか。
行き交う民には地方や他国からの者も多くいます。珍しい品や、旅芸人も多く、ものすごい賑わいです。
到着してすぐ、あなたに似合いそうな髪飾りをひとつ購入しました。
皇女であるあなたに贈るには、失礼になってしまうものかもしれません。
それでも、あなたを想い、あなたのために選びました。戻ったら、ぜひ受け取っていただきたいです。
食べ物も、露店で色々と珍しいものが売られているのですが、キャンディアップルのような馴染みのものも売っています。そういえば林檎が旬ですよね。
いつもは切り分けていましたが、露店商によると、表面の飴を叩いて砕き、後は丸かじりでもいいですし、飴ごとスプーンで掬うようにして食べることもできる、とのことです。
この食べ方なら棒に刺したままで楽しむことができます。
早速実践してみました。
ちょうど良さそうなキャンディアップルに遭遇したので、バキバキに砕いて刺したまま更に嚙み砕いてお茶で流しました。二つ程。甘かったです。
残らず平らげましたので、提供してくれた方に失礼になるようなことはないかと思います。
皇太子殿下の姉君であらせられるあなたが今ここにいないこと、残念でなりません。
いつかあなたと帝都を訪れる日が来ればいいと、願っています。
それはそれとして、とりあえず帝都土産、楽しみにしていてください。
メインの買い物以外でも、何か思い付いたものがあれば何でも言ってくださいね。
あなたの忠実な執事オイレ
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