第24話 リヒトの父は皇弟殿下
翌朝、目が覚めるとハルはフカフカなベッドの中にいた。コハルが直ぐ側で丸くなって寝ている。
「ありぇ……おりぇいちゅのまに……」
ハルがベッドの上で身体を起こして部屋を見渡す。豪華な部屋の大きなベッドだ。
「ハル、おはよう」
ミーレが何やらパタパタと片付けている。
「みーりぇ、おはよう。おりぇ、寝てた」
「フフフ、お腹がいっぱいになったら直ぐにウトウトし出したみたいよ。疲れてたのね。体調はどう? 大丈夫?」
「うん、みーりぇ。元気ら」
「そう。良かったわ。お着替えしましょうか」
「ん」
ハルは大きなベッドからヨイショと起き出す。後ろ向きになって、足から降りようとしていると、ミーレに抱き上げられた。
コハルはまだ眠いのか、チョロチョロと亜空間に入っていった。
「ベースと違って大きいでしょう?」
「うん、フカフカら」
「うふふ、そうね。大きすぎて寂しくなかった?」
「分かんないうちに爆睡ら」
「うふふ、そうだったわね。ハル、お顔洗うわよ」
「ん」
ハルはギュッと目を瞑ると、ミーレがハルの顔を洗う。
ミーレに手早く支度されて、着替えも済ませ鏡の前に座らされた。また見た事がない服を着せられている。もしかして、沢山あるのか? ミーレが片付けていたのは服か?
「前髪長いから邪魔でしょう? また編むわね」
「ん」
ミーレが慣れた手つきでハルの細いサラサラの髪を編み込んでいく。
「みーりぇ、じょうじゅ」
「そう? ありがとう。リヒト様の編み込みで慣れているからかしら」
え……リヒトのあの細かい編み込みをミーレがやっているのか? それは凄い。プロ級だ。
「流石にね、ご実家にいる間はあの髪型はしないみたいよ」
ほう。やはりエルフの中ではあの髪型は変わっているのか。
「さ、出来たわ。朝ご飯食べに行きましょう」
ミーレに手を引かれながら、ポテポテと歩く。
「みーりぇとりゅしかはまたべちゅ?」
「今朝は一緒よ。リヒト様達は皆様でお城に行かれたわ」
もう出掛けたのか? てか、もしかして寝過ごしたか? と、ハルが不安そうだ。
「ハル、いいのよ。昨日、奥様も仰ったでしょう? ハルは自由なのよ。気にしなくていいの」
「みーりぇ……れも、おりぇ……」
「ハルは気にするかしら?」
「うん」
「じゃあ、今日だけね。疲れもあったでしょうから。明日からは起こしてあげるわ」
「ん、ありがちょ」
1階に降りる。階段は長いからミーレが抱っこする。また廊下を歩く。
「ひりょいな……」
「皇弟殿下のお邸だもの」
こうてい? なんだ? て顔のハル。
「皇弟殿下が分からない?」
「うん」
「リヒト様は皇族だと言ったのを覚えているかしら?」
「はいりょーしゅえりゅふは皇族」
「そうね、ハル偉いわ。よく覚えてるわね。皇族の中でもリヒト様のお父様は今の皇帝陛下の弟君なの。分かるかしら?」
「うん、皇帝と兄弟」
「そうそう。だからね、皇族の中でもトップクラスね」
「…………」
「ハル?」
「おりぇ、しょんな家にいてもいいのか?」
「何言ってんの、当たり前じゃない」
「当たり前……?」
「そうよ。リヒト様が保護すると決められたのだから堂々と可愛がられていればいいのよ」
「みーりぇ……」
「ハルの悪いところね。遠慮しすぎ、気を使いすぎ。分かった?」
「……ん」
「フフフ、慣れるわよ。少しずつ慣れていけばいいわ。さ、今朝はこっちで食事よ。ルシカが待ってるわ」
「りゅしかの飯か!?」
「そうよ、嬉しい?」
「うん! りゅしかの飯が1番ら!」
ミーレに連れられて入っていくと、厨房に繋がっている食堂で長いテーブルがいくつも並べてあった。
「ハル! 起きましたか。どうです? 疲れていませんか?」
「りゅしか! 大丈夫ら!」
ハルがルシカに向かって走っていく。
「おやおや、どうしました?」
「りゅしかの飯が1番ら!」
「それはそれは、ありがとうございます。朝ですからね、軽くしました。トーストサンドとスープですよ」
「うん、ありがちょ。こはりゅも出していいか?」
「もちろんです。コハルの分もありますよ」
「やった! こはりゅ」
「さ、ハル座って。こっちにもハル用の椅子があるのよ」
ミーレに抱き上げられて、子供用の椅子に座らせられる。
「ありがちょ」
「ここはね、このお邸で働いている人達の食堂なの。リヒト様達がいらっしゃらない時はこっちで一緒に食べましょう」
「うん!」
ハル用の小さなスプーンも用意してくれる。
「さ、どうぞ。沢山食べて下さい」
「りゅしか、ありがちょ。いたらきましゅ」
コハルも出てきた。
「ピルルル」
「アハハ、りゅしかの飯は美味いな!」
「ピルルル」
「うんうん」
喋ってるよ。何を話しているんだ?
「こはりゅもりゅしかの飯が1番らって」
「アハハハ、ありがとうございます。嬉しいですねー。ミーレもどうぞ」
ルシカがミーレと自分の分であろう食事を載せたトレイを置く。
「ルシカ、ありがとう」
ミーレは当然の様にハルの隣りに座って食べ出した。ルシカはハルの正面に座り食べ出す。
ハルとコハルはトーストサンドとスープに夢中だ。
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