第9章 シンエン
タチカゼは手首足首を鎖で繋がれ、データの海を漂っていた。
「・・・ダメだ、どんどん力が吸い取られるみてえだ・・・」
最早、手を動かす力も残っていなかった。その時だった。
『助けてあげるよ、あなたみたいな検体をこんなところで消すのは惜しいからねぇ』
頭の中に女性の声が響きわたった。
「誰・・・だ・・・」
パリーンと豪快な音を立て、手首の鎖が割れた。
「な・・・!?」
『ついでにエネルギーも少し回復させてやる、これで少しはマシに動けるだろう?』
「あんたはいったい・・・」
『フフ・・・もしこの先、どうにもならなくなったらまた会いにくるといい。その時に
すべてを話そう。今は急いだ方がいい!』
「わ、わかった!誰だかわからねぇが、ありがとう!!」
タチカゼはデータの海を上へ向かって泳ぎ始めた。
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外ではニンゲンヘイキとゲリラ軍との乱戦が続いていた。
その中心で銃撃音とカタナで弾を弾く音が響き渡る。
「ハハハ、そんなもので僕を倒せると本気で思っている訳じゃないだろう?」
「うるさいね、やってみなきゃ分からないだろ!?」
セツナは拳銃を乱射する。
「お、さっそくラスボスと対決かいな!我慢のきかんラスボスやのう」
槍を振り回しながらサルトビが軽口を叩く。
「そんな事言ってる場合じゃないよ、一般隊員にはニンゲンヘイキはちと荷が重い!私達
特務隊ががんばらないと!!」カエデは小刀の二刀流を華麗に振り回す。
「それもそうやな!!」サルトビが槍に刺さったニンゲンヘイキをぶん投げた。
と、セツナが銃を撃つのを止める。
「どうしたんです?まだ僕には一撃も致命傷はあたってな・・・」
ダーン!!!
セツナの拳銃がタチカゼの額を貫いた。
「当てたぞ、致命傷」
ゆっくりタチカゼが顔を上げる。傷口はもう塞がっていた。
「人の話は最後まで聞くものですよ、セツナ」
ふぅーとセツナは深く息を吐いた、そして拳銃をしまった。
「どうするつもりですか?まさか素手で戦うとでも?」
「やっぱりあたしは覚悟が足りなかった・・・あんたを倒すにはあたしも決断しなきゃならない。」
そういいながら結んでいたツインテールをほどいた。
「・・・何をする気ですか?」
「潜るのさ、より深い緑にね・・・それは深緑を超え・・・」
セツナの左眼がまばゆい翠に輝き、髪の毛が翠色に逆立つ!
「真縁になる!!!」
セツナは腰に下げたダガーナイフを手に取る。
「これがあたしの切り札、真縁モードさ!さぁ、ラウンド2だ!!!」
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